飲食店の規約・契約書の全体像

飲食店の書類は、お客様向けと事業者向けに分かれます。書類を作り込む前に、書類の外にある決まりと、契約がいつ成立するかを確かめておくと、条文が空回りしません。

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「当店は一切責任を負いません」と掲示しても、責任の全部を免除する条項は消費者契約法8条1項で無効になります。お客様の携帯品は商法596条3項でも免れません。

このページの要点

  • 書類は、お客様向け(予約・店内・持ち帰り・ポイント)と事業者向け(運営委託・車両・仕入れ・宴会)に分けて考える。
  • 契約は申込みと承諾で成立し、方式は要らない(民法522条)。掲示や予約画面の条件は、申込みの前に示して初めて契約の内容になる(民法548条の2)。
  • 営業の許可(食品衛生法55条)や表示のルール(景品表示法5条)など、書類の外の決まりは書類で書き換えられない。
  • 免責は8条、キャンセル料や遅延損害金は9条、一方的に不利な条項は10条(消費者契約法)の順に点検する。

結論:飲食店の書類は「お客様向け」と「事業者向け」に分けて考える

飲食店の書類は、大きく二つの束に分かれます。一つは、お客様との間の約束を定める書類で、予約の条件、店内の利用ルール、キャンセル料、持ち帰りや配達の条件、アレルギーへの対応、ポイントや食事券の規約などです。もう一つは、事業者どうしの約束を定める書類で、店の運営を他の事業者や個人に任せる契約、キッチンカーなど車両の貸し借り、食材の仕入れ、宴会の幹事(会社などの団体)との取決めなどです。この二つは、書く目的も、適用される法律も違います。お客様向けの書類には、個人のお客様を守る消費者契約法が強く働きます。事業者向けの書類は、当事者の合意が尊重される範囲が広い反対に、書かれていないことが後で争いの種になりやすい書類です。

もう一つ、最初に押さえておきたいのは、飲食店には「書類を整える前に、書類の外で決まっていること」が多い点です。営業を始めるには都道府県知事の許可が要り、衛生管理には基準があり、メニューや看板の表示にはルールがあります。規約や契約書は、これらの決まりを「書き換える」ものではありません。決まりを守ることを前提にして、そのうえで、お金と責任の線引きを書くものです。このページでは、書類の全体像と、この順序を整理します。個別の論点は、それぞれのページで掘り下げます。

書類を考える順序

① 書類の外の決まり営業許可、衛生管理、食品表示、不当表示の禁止。書類では動かせない前提
② 契約がいつ成立するか掲示・予約画面・来店のどの時点で、何が約束になるか
③ お金と責任の線引きキャンセル料、免責、返金、費用の分担を条文にする
④ 無効になりやすい書き方の点検消費者契約法8条・9条・10条に照らして見直す

書類を先に作り込む前に、①と②を確かめておくと、③以降の条文が空回りしません。

お客様向けの書類の地図

お客様向けの書類は、お客様が店とかかわる順に並べると整理しやすくなります。予約をする、来店する、飲食する、会計をする、持ち帰る、後日また利用する。この流れのどこで、どの書類が働くのかを表にしました。

場面と書類と主な条文

場面書類・掲示決めること主に関係する条文詳しい解説
予約予約条件、キャンセルポリシー予約の成立時点、変更、人数の増減、キャンセル料民法522条、消費者契約法9条キャンセル料の決め方
ネットでの予約・決済予約画面の表示、確認メール、事前決済の規約料金、支払時期、解約の条件の表示、返金特定商取引法11条・12条の6、電子消費者契約法3条ネット予約と事前決済
来店・店内入口の掲示、店内利用ルール持込み、撮影、席の利用時間、迷惑行為、荷物の預かり民法548条の2、商法596条店内利用ルール
持ち帰り・配達テイクアウトの規約、配達の条件受渡しの時点、保存方法の案内、返金・作り直し食品衛生法6条、民法415条持ち帰りと配達
アレルギー・事故アレルギー対応の掲示、申込時の確認事項申告の受け方、記録、免責の限界消費者契約法8条、製造物責任法アレルギーと食中毒
メニュー・価格メニュー、看板、ネット掲載産地・手作り等の言い方、食べ放題の条件、総額表示景品表示法5条、消費税法63条(総額表示)メニュー表示
ポイント・食事券ポイント規約、食事券・回数券の規約有効期限、払戻し、閉業時の扱い資金決済に関する法律食事券とポイント

表のとおり、お客様向けの書類は、一枚の「利用規約」にまとめることもできますが、場面ごとに別の掲示や画面に分けて置くこともできます。どちらが良いかは、お店の規模とお客様の接点で決まります。小さな店で、予約を電話だけで受けているなら、予約の条件を口頭と紙で伝えるだけで足りる場面もあります。反対に、ネットで予約と決済を受けているなら、画面に出す表示が法律上の義務と結びつくため、表示の内容を整える必要が出てきます。いずれの場合も、書類の数よりも、お客様が申込みをする前に、条件を見られる状態になっているかが大切です。

事業者向けの書類の地図

事業者向けの書類は、お客様向けの書類より、一件ごとの設計の幅が広い書類です。典型的な場面は次のとおりです。

事業者向けの書類の主な型

店舗運営の委託

店を任せる・任される

  • 売上に連動した報酬の算式と、費用の区分
  • 設備、メニュー、営業アカウントの帰属
  • 事故・食中毒の責任を原因別に分ける
  • 解約の予告と引継ぎ

車両の賃貸借

キッチンカーなどを貸し借りする

  • 賃料、保証金の返還、整備・保険の分担
  • 営業許可の名義と確認条項
  • 場所の使用と事故の責任

食材の仕入れ

仕入先との継続取引

  • 発注・納品・検品・返品の手順
  • 欠品、価格改定、産地の保証
  • 仕入先の事故が自店に及んだときの求償

宴会・貸切

幹事(会社など)との取決め

  • 人数確定の期限と前受金
  • 貸切の範囲と当日の事故
  • 事業者どうしの場合の考え方

各型の詳しい論点は、それぞれのページで扱います。

事業者向けの書類で共通して言えるのは、飲食店は食品を扱うため、事故が起きたときの影響が大きいという点です。食中毒や異物混入は、お客様の健康に直結し、営業許可にもかかわります。責任の線引きを「全部」「一切」と書いてしまうと、原因が違う場合に当てはまらず、かえって争いが長引きます。原因が仕入れにあるのか、調理にあるのか、提供にあるのか、設備にあるのかを分けて書くことが、有事の書類としては現実的です。詳しくは運営を任せる契約と食材の仕入れのページで扱います。

契約はいつ成立するか:掲示・ネット予約・来店

書類を整えるうえで、意外に見落とされるのが「契約がいつ成立するのか」です。民法は、契約は申込みに対して相手方が承諾したときに成立し、成立に書面などの方式は要らないと定めています(民法522条)。つまり、口頭の予約でも、予約の連絡に店が応じた時点で、予約の契約は成立します。そこで、店頭の掲示や予約画面の条件が「契約の内容」になるのは、どのタイミングかを考える必要が出てきます。

場面ごとの契約の成立と、条件が契約の内容になる時点

  1. 電話の予約

    電話で日時と人数を伝え、店が承諾した時点で予約が成立します。キャンセル料の説明が電話で十分にされていないと、後でお客様が「聞いていない」と主張しやすくなります。

    押さえる点予約を受けるときに、キャンセル料の有無と期限を口頭で伝え、確認のメッセージにも書く。

  2. ネットの予約

    予約フォームの送信が申込み、店の確認メールや確定画面が承諾にあたるのが一般的です。申込み前の画面に条件が表示されているかが、後で問われます。

    押さえる点申込みボタンの前の画面に、料金・キャンセル条件・個人情報の利用目的を出し、確認メールにも同じ内容を入れる。

  3. 飛び込みの来店

    入店して着席し、注文をした時点で、飲食の提供の契約が成立すると考えられます。入口の掲示は、注文の前にお客様が見られるかが問題になります。

    押さえる点席に着く前に目に入る位置に、持込み・撮影・利用時間などのルールを掲示する。

  4. 会計・精算

    料金の支払は契約の履行です。メニューに書かれた価格が料金の基準になるため、お通しやサービス料なども、注文の前に分かる必要があります。

    押さえる点お通し・サービス料・席料は、メニューや予約画面に事前に表示する。

店内の張り紙や予約画面の規約は、民法の「定型約款」にあたる場合があります。定型約款とは、ある事業者が不特定多数を相手に、内容の全部又は一部が画一的であることがお互いにとって合理的な取引(定型取引)を行うときに、契約の内容とすることを目的として準備した条項の総体をいいます(民法548条の2第1項)。定型約款にあたる場合は、お客様が一つひとつの条項を読まなくても、契約の内容とする旨の合意があったとき、または店があらかじめ「この条件で契約します」と相手方に表示していたときは、個別の条項にも合意したものとみなされます。ただし、お客様の権利を制限したり義務を加重したりする条項のうち、取引の態様や実情、社会通念に照らして信義誠実の原則に反しお客様の利益を一方的に害するものは、合意しなかったものとみなされます(同条2項)。店内の掲示がどこまで契約になるかは、店内利用ルールのページで詳しく扱います。

書類の外にある決まり:営業許可・衛生管理・表示

飲食店の書類を考えるときは、書類の外で決まっていることを先に確かめます。主なものは次のとおりです。

書類の外にある主な決まり

決まり内容の入口書類との関係
営業の許可飲食店営業など、政令で定める営業を営もうとする者は、都道府県知事の許可を受けなければならない(食品衛生法55条1項。政令は同法施行令35条)運営を他者に任せる契約や車両の貸し借りでは、誰が営業者として許可を受けているのかを書類で確かめる
衛生管理の基準営業者は、厚生労働省令の基準に従って公衆衛生上必要な措置を定め、遵守しなければならない(同法51条)委託先に衛生管理を任せる場合も、基準を守る責任の所在を決めておく
腐敗・有害なものの販売禁止腐敗したもの、有害な物質が付着したもの、病原微生物で汚染されたもの、異物が混入したものなどの販売は禁止される(同法6条)規約で免責を書いても、この禁止は変わらない
食品表示容器包装に入れた加工食品の表示を定める食品表示基準は、設備を設けて飲食させる場合には原則として適用されない(食品表示基準1条ただし書、3条)店内飲食と持ち帰りで、表示の義務が違う場面がある
不当表示の禁止品質を実際より著しく優良と示す表示や、価格などを著しく有利と誤認させる表示は禁止される(景品表示法5条)メニュー、看板、ネットの掲載の言い方に直結する
価格の総額表示お客様向けに価格を示すときは、消費税を含む総額を表示する(消費税法63条。免税事業者を除く)。税抜価格を併記する場合も総額が明瞭に分かるようにするメニュー、看板、ネット予約の価格欄の基本。サービス料・席料などがあれば価格の近くに書く
個人情報の取扱い個人情報の利用目的の特定と、取得時の通知・公表・明示(個人情報保護法17条、21条)予約者の氏名・連絡先の取り扱いを、予約画面やプライバシーポリシーで示す
深夜の酒類提供深夜に酒類を提供する飲食店営業は、営業所ごとに公安委員会への届出が必要(風営法33条)深夜の営業時間や貸切を規約・予約条件に書くときは、届出を済ませていることが前提になる
20歳未満への酒類提供営業者は、20歳未満の者の飲用に供することを知って酒類を販売・供与してはならず、年齢の確認その他の措置を講ずるものとされる(20歳未満の者の飲酒の禁止に関する法律1条3項・4項)予約・宴会の規約や掲示に、年齢確認を行うことと、20歳未満の方には酒類を提供しないことを書く
受動喫煙喫煙専用室や喫煙目的室を設ける場合は、出入口に標識を掲示し、20歳未満の者を立ち入らせてはならない(健康増進法33条・35条)店内ルール・入口の掲示と、法定の標識が食い違わないようにする

この表のうち、営業許可と衛生管理の基準、深夜の酒類提供の届出、受動喫煙の標識は、申請の手続や設備の要件の話であり、このガイドでは扱いません。20歳未満への酒類提供の禁止は、予約や宴会の規約・掲示に年齢確認と提供しない旨を書く形で、書類の側に反映します。ここで確認したいのは、契約書の側の論点です。営業の許可は営業を営む者ごとに受けるものですから、店の運営を他者に任せる場合に「許可の名義が誰か」を書類に書いておかないと、許可を前提にした責任の分担が空洞になります。また、食品表示基準の義務表示は、店内で飲食させる場合には原則として適用されないものの(同基準1条ただし書。ただし同基準40条の注意喚起表示は、飲食させる場合にも適用されます)、お持ち帰りの容器に入れて売るときは別の扱いになる場面があります。この違いは持ち帰りと配達のページで整理します。

規約に書いてよいこと、無効になりやすいこと

個人のお客様(事業として又は事業のために契約をする場合を除く個人。消費者契約法2条1項)と店との契約には、消費者契約法が働きます。規約に書いても無効になる、あるいは無効とされるおそれが大きい書き方は、次の条文で整理できます。

消費者契約法の主な条文

条文無効になる条項の型飲食店での例
8条事業者の債務不履行や不法行為による損害賠償責任の全部を免除する条項。故意・重大な過失がある場合の責任の一部を免除する条項「当店は一切責任を負いません」「いかなる場合も賠償しません」の掲示や規約
9条1項1号契約の解除に伴う損害賠償額の予定・違約金のうち、同種の契約の解除に伴い事業者に生ずべき平均的な損害の額を超える部分キャンセル料のうち、仕入れ済み食材や空席の損害を超える部分
9条1項2号代金の支払が遅れたときの遅延損害金のうち、年14.6%を超える部分未払いの代金に対する高い遅延損害金
10条法令の任意規定に比べて消費者の権利を制限し義務を加重する条項で、信義誠実の原則に反して消費者の利益を一方的に害するものお客様に一方的に不利な、利用停止や退店の条項、広い免責

書き方の例(一般的な例) 免責と責任の書き方

キャンセル料

よくある書き方ご予約のキャンセルは、いかなる理由でも直前は料金の全額をいただきます。
整えた書き方キャンセルの時期に応じて、あらかじめ表示した割合のキャンセル料をいただきます。割合は、当店に生ずる食材の費用等の損害を考慮して定めています。

理由時期の区分ごとに、平均的な損害の額を超えないことが求められます(消費者契約法9条1項1号)。説明を求められたときは、算定の根拠の概要を説明するよう努めます(同条2項)。

規約の変更

よくある書き方当店は、いつでも自由に規約を変更でき、変更後は利用者が同意したものとみなします。
整えた書き方規約を変更するときは、効力の発生時期と変更後の内容を、お店のサイトなどで事前に周知します。変更が一般の利益に適合する場合または合理的な場合に限ります。

理由定型約款の変更は、要件と周知の手続が民法548条の4に定められています。合理性を理由とする変更(同条1項2号)は、効力発生時期までに周知しなければ効力を生じません。

これらの条文は、入口の判断に使えます。免責の条項を見つけたら8条、お金を請求する条項を見つけたら9条、それ以外でお客様に一方的に不利な条項を見つけたら10条、と順に当てはめます。ただし、有効か無効かの最終的な判断は、個別の事情と条項全体の文脈で決まります。条文は、問題を見つけるための入口として使います。免責の条項の限界と、原因別の責任の整理は、アレルギー・食中毒・異物混入のページで詳しく扱います。なお、お客様が個人ではなく事業者(会社の宴会の幹事など)の場合は、消費者契約法の対象外です。事業者間の取引は別の整理が必要になります(宴会・貸切のページ)。

書類を整える手順

最後に、書類を整える手順をまとめます。この手順は、新しく作る場合にも、既にある書類を見直す場合にも使えます。まず、書類の「形」を使い分けます。同じ内容でも、どの形で相手に示すかによって、後で証拠として働く強さが違うからです。

書類の形と向いている場面

形向いている場面気をつける点
店内の掲示・メニューの注記持込み、撮影、席の利用時間、アレルギーの申告のお願いなど、来店時に伝えるルール席に着く前に目に入る位置か。文字が小さすぎないか。予約画面と食い違わないか
予約画面・確認メールキャンセル料、人数の確定期限、料金、個人情報の利用目的申込みボタンの前に表示されているか。確認メールに同じ内容が残るか
利用規約(サイト・アプリ)ネット予約、事前決済、ポイント、会員の条件など、継続的な利用の条件同意の取り方。変更するときの周知(民法548条の4)
契約書(二者が署名・記名押印)運営の委託、車両の賃貸借、仕入れ、宴会の幹事との取決めなど、事業者間の約束金額・期間・解約・責任の分担など、空欄のまま走らせないこと
申込書・注文書とメールのやり取り宴会のコース、貸切、ケータリングなど、一件ごとの条件を確認する場面最終の人数・料金・キャンセルの条件が一通で読めるか

表のとおり、お客様向けの条件は「見られる位置にあるか」、事業者向けの契約は「書かれているか」が分かれ目です。お客様向けの条件は、長い規約を作るよりも、短い表示を適切な位置に置く方が、実際には働くことが多くあります。反対に、事業者向けの契約は、口頭の合意を前提にすると、人が代わったとき、店が代わったときに、約束の中身が失われます。契約を書面にすることは、民法上は成立の要件ではありませんが(民法522条2項)、約束の中身を後から確かめる手段として、実務では重要です。

書類を整えるときの確認項目

  • お客様向けの書類は、予約・来店・持ち帰り・ポイントのうち、実際にお店で行っている場面だけを洗い出したか
  • 予約の申込みの前に、料金・キャンセル条件・個人情報の利用目的が見られる状態か
  • 店内の掲示は、席に着く前に目に入る場所にあるか。掲示と予約画面の内容が食い違っていないか
  • キャンセル料は、時期の区分ごとに、仕入れ済みの食材や席の損害の範囲に収まっているか
  • 免責の文言は、責任の全部を免除する形になっていないか(消費者契約法8条)
  • 営業許可を受けているのは誰か。店の運営や車両を他者に任せる場合に、書類にその確認が入っているか
  • メニューの言い方(産地、手作り、食べ放題など)に根拠があるか
  • 事業者向けの契約は、報酬・費用・設備・責任・解約の出口が、書かれていないまま走っていないか

起きがちなこと

書類が整っていない飲食店で起きがちなこと

  • 予約のキャンセルを巡り、「聞いていない」「確認メールに書いてなかった」と争いになる。条件が申込みの前に示されていなかった。
  • 店内の張り紙の「責任を負いません」を根拠に免責を主張したが、責任の全部を免除する条項として通用しなかった。
  • 店の運営を任せたあと、許可の名義や設備の所有を巡って、終了時にもめる。
  • メニューの「国産」「手作り」の根拠を示せず、表示の訂正が必要になる。
  • 食事券を発行したあと、有効期限や払戻しの扱いを決めておらず、閉業の際に混乱する。
  • 仕入れが口約束のままで、欠品や価格の改定のたびにもめる。

書類は、起きてから作ろうとすると、相手との関係がすでにこじれていて、決められる範囲が狭くなります。事前に、場面ごとの最小限の書類を用意しておくことが、有事の備えになります。トラブルが起きたあとの確認の順序はトラブルとよくある質問のページに整理しています。

よくあるご質問

飲食店は、利用規約を必ず作らなければなりませんか?

利用規約を作ることを義務づける一般的な決まりはありません。ただし、規約や掲示がなくても、予約や注文の時点で契約は成立します(民法522条)。キャンセル料、持込み、撮影、免責などのお店のルールをお客様に守ってもらうには、事前に条件を示しておく必要があります。ネットで予約と決済を受ける場合は、特定商取引法に基づく表示が必要になる場面があります。

店内の張り紙のルールは、お客様との契約の内容になりますか?

張り紙の内容が契約の内容になるかは、定型約款にあたるか、あたる場合に契約の内容とする旨の合意または事前の表示があったかで決まります(民法548条の2第1項)。ただし、お客様の利益を一方的に害する条項は、合意しなかったものとみなされます(同条2項)。席に着く前に目に入る位置に掲示し、予約画面にも同じ内容を示すと、争いになりにくくなります。

「責任を負いません」と掲示すれば、トラブルのときに責任を免れますか?

責任の全部を免除する条項は、消費者契約法8条1項により無効になります。お客様の携帯品については、商法596条3項が、責任を負わない旨を表示しても場屋営業者は責任を免れないと定めています。免責の限界は、アレルギー・食中毒・異物混入のページで詳しく整理しています。

お客様向けの書類と事業者向けの書類は、どちらから作ればよいですか?

営業の形によって順序が変わります。店を開く前なら、運営を任せる契約や車両の貸し借り、仕入れの条件といった事業者向けの書類を先に固め、開店前にお客様向けの予約の条件や掲示を整えるのが自然です。営業中のお店なら、トラブルになりやすい予約・キャンセルの条件から整えると効果が出やすくなります。

飲食店フランチャイズや食品の製造委託も、このガイドで扱っていますか?

扱っていません。このガイドは、飲食店・カフェ・バー・キッチンカーが、お客様や取引先と交わす規約・契約書を対象にしています。食品の製造委託、間借りの一般論、催事の出店規約、フランチャイズは、別のガイドで扱います。

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本ページは一般的な情報提供です。個別の取引への当てはめは、営業の形態や契約の内容によって異なることがあります。書き方の例として紹介している内容は、契約書作成の実務でよく見られる書き方を整理した例で、特定の事業者や案件を示すものではありません。条文は e-Gov法令検索(法令API)で確認しています。参考: e-Gov法令検索 / 消費者庁 / 厚生労働省 / 個人情報保護委員会

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