テイクアウト・デリバリーの規約と責任:受渡し・傷み・表示・返金

持ち帰りや配達の料理は、店の手を離れてから口に入るまでに時間が空きます。いつ誰に渡した時点で責任が移るのか、傷みの原因が店の側かお客様の側か、容器に入れて売る食品に表示が要るのか、配達の事故は誰が負うのかを、条文に沿って整理します。

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「受取後は一切責任を負いません」と書いても、店の調理や容器に原因がある傷みまで責任をなくす条項は、個人のお客様との契約では無効とされる類型に当たります。

このページの要点

  • 受渡しは店頭・店の配達・外部配達・置き配に分け、形ごとに引渡しの時点と連絡窓口を書く。引渡し後の双方無責の損傷は買主の負担になるが、店の側の原因は別(民法567条・562条)。
  • 持ち帰り後の傷みは、原因が店の調理・容器か、お客様の保管・放置かで切り分ける。免責は原因で限定し、全部免除にしない(消費者契約法8条1項1号)。
  • 容器包装に入れて売る弁当やそうざいは、店内飲食と違い食品表示基準の対象になり得る。ラベルと注文画面のアレルギー情報を一致させる。
  • 配達を外部に任せても、お客様に対する窓口は店。責任の分担は委託先との契約で決め、お客様向けの規約では窓口を一本化する。

結論:持ち帰りと配達の規約は「いつ誰に渡したか」「渡した後の傷みは誰の側の事情か」「表示は要るか」の三点で組み立てる

店内で食べてもらう料理と、持ち帰り・配達の料理とでは、お客様との間で決めておくことが大きく変わります。店内なら、提供した料理をその場で食べ、異常があればその場で申し出てもらえます。持ち帰りや配達では、料理が店の手を離れてから口に入るまでに時間が空き、その間の温度管理や保存は店の目の届かないところで進みます。傷んだ、冷めた、倒れてこぼれた、別の料理が入っていた、届かなかったといった申し出に対して、店が何をどこまで負うのかを、あらかじめ書面に落としておかないと、一件ごとに言い分がぶつかります。

持ち帰りと配達の規約で決めるべきことは、次の三つに絞られます。第一に、料理を渡した時点です。お客様の手に渡った時なのか、配達員に託した時なのか、指定の場所に置いた時なのかによって、その後に起きた傷みや破損を誰が負担するかの出発点が変わります。第二に、渡した後の傷みの原因が、店の調理や容器の側にあるのか、お客様の保管や時間経過の側にあるのかという切り分けです。第三に、容器に入れて売る食品に表示が必要かどうかで、これは規約の外にある決まりとして店が守る必要があります。

  • 渡した時点は、店頭での受取り・配達員への引渡し・指定場所への置き配のそれぞれについて、書面に書き分ける。
  • 傷みや異物の申し出は、受取後の経過時間と保管の状況を記録に残す前提で、返金や作り直しの条件を決める。
  • 免責の書き方は、事業者の責任を全部なくす形にせず、お客様の事情による場合に限る形にする(消費者契約法8条)。
  • 容器包装に入れて販売する食品は、店内で飲食させる場合と扱いが違い、食品表示基準の表示の対象になり得る。
  • 配達を外部に任せる場合は、店・配達の担い手・お客様の三者のうち、誰がどの段階を担うのかを図にして規約に合わせる。

なお、アレルギーの申告の受け方や、食中毒・異物混入が疑われるときの初動はアレルギー・食中毒・異物混入が起きたときで、メニューや看板の言い方はメニュー・産地・価格の表示と景品表示法で扱います。このページでは、持ち帰りと配達という「受渡しの形」に固有の論点に絞ります。

受渡しの時点と、危険が移る場面を整理する

持ち帰りの注文は、法律上は食事を売る売買に近い性質と、調理して提供する役務の性質が混ざった契約です。料理という物の引渡しを中心に見るなら、売買の規定が参考になります。民法567条1項は、売主が買主に目的物(売買の目的として特定したものに限る)を引き渡した場合に、その引渡しの時以後に目的物が当事者双方の責めに帰することができない事由によって滅失・損傷したときは、買主は、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求、契約の解除をすることができず、代金の支払も拒めない、と定めています。つまり、引渡しの時を境に、双方に落ち度のない事故のリスクは買主側に移ります。

ここで注意したいのは、この規定が動くのは「双方の責めに帰することができない事由」による損傷に限られる点です。料理が傷んでいた原因が調理や容器、温度管理など店の側にあるなら、引渡しの時にすでに契約の内容に適合していなかった、という見方になり、買主は履行の追完の請求(民法562条)などをすることができます。反対に、お客様が受け取ってから長時間持ち歩いた、車内に放置した、といった事情なら、店の責任は小さくなります。つまり、引渡しの時点は「ここから先は一切責任を負わない」という線ではなく、「原因が店の側にあったかどうかを判断する出発点」です。

弁済の場所についても、民法484条1項は、別段の意思表示がないときは、特定物の引渡し以外の弁済は債権者の現在の住所でしなければならない、と定めています。これを持ち込むと、配達の注文では「お客様の住所まで届けること」が原則の履行の場所だという見方が出てきます。店頭受取りなら店、配達ならお客様の指定した場所、というように、規約で履行の場所を書き分けておくと、「届けたのに受け取っていない」という言い分の食い違いを小さくできます。

受渡しの三つの形と、渡した時点

店頭で受取り店が料理を手渡す。手渡しの時点が引渡し。受取時に中身と数を確認してもらう。
配達員に引渡し店が配達の担い手に託す。お客様への引渡しは到着時。託した後の事故の扱いを決める。
指定場所に置き配不在時に玄関先などに置く。置いた時点を引渡しとみるか、受領を待つかを決める。

三つの形のどれを使うかを、注文画面と確認メールで示します。形ごとに「引渡しとみる時点」と「連絡の窓口」が変わります。

置き配は、お客様が不在でも届けられる便利な方法ですが、置いた後に紛失・盗難・動物による被害・気温による劣化が起きやすい場面です。置き配を選べるようにするなら、お客様が置き配を選んだ場合は置いた時点で引渡しがあったものとして扱う、ただし店または配達の担い手の過失による場合を除く、というように、引渡しの時点を決めたうえで、責任の及ぶ範囲を限定する書き方が整理しやすい形です。生ものや温度管理が要る料理について、置き配を認めないか、認める場合の時間の上限をどうするかも、あわせて決めておきます。

受渡しの形ごとに規約で決めておくこと

受渡しの形引渡しとみる時点規約で決めること
店頭で受取り手渡した時受取時の確認、受取の期限、期限を過ぎた場合の扱い、保管の注意の案内
店の配達指定場所に届けて手渡した時配達可能な地域と時間、遅延の扱い、不在時の対応、連絡先の確認
外部の配達サービス配達の担い手が手渡した時店と配達サービスの責任の分担、申出の窓口、注文内容の変更・取消の扱い
置き配置いた時(合意した場合)置き配を認める料理の範囲、置いた場所の写真等の記録、紛失・劣化の扱い

持ち帰った後の傷みと、食品衛生法の枠

食品衛生法6条は、腐敗・変敗したもの、有毒・有害な物質が含まれ付着し、またはそれらの疑いがあるもの、病原微生物により汚染されまたはその疑いがあり人の健康を損なうおそれがあるもの、不潔・異物の混入などにより人の健康を損なうおそれがあるものを、販売し、または販売の用に供するために調理・貯蔵・陳列してはならない、と定めています。持ち帰りや配達の料理も、販売する以上この規定の対象で、規約に何を書くかにかかわらず、店は販売する時点で安全な状態の料理を渡す必要があります。

また、同法3条は、食品等事業者に、自らの責任において食品の安全性を確保するため、知識・技術の習得、原材料の安全性の確保、自主検査その他の必要な措置を講じる努力義務を、同条2項は原材料の販売者の名称などの記録の作成・保存の努力義務を定めています。さらに51条は、営業者に、厚生労働省令で定める基準に従い、公衆衛生上必要な措置(いわゆるHACCPに沿った衛生管理)を定めて遵守することを求めています。これらは規約の条文ではなく店の運用に関する決まりですが、傷みの申出を受けたときに「どのような管理をしていたか」を説明できる記録があるかどうかが、その後のやり取りを左右します。

規約で扱うのは、お客様の側の取扱いです。たとえば、持ち帰り用の料理には、できるだけ早く食べること、保冷が必要なものは保冷し、加熱が必要なものは十分に加熱すること、受取後に長く放置しないこと、といった案内を、注文画面・レシート・容器のラベルなど、お客様が目にする場所に示します。こうした案内は、お客様に守ってもらうルールであると同時に、お客様の取扱いに起因する傷みと、店の側の原因による傷みを切り分けるときの手がかりになります。ただし、案内を書いたことで、店の側の原因による傷みの責任までなくなるわけではありません。

書き方の例(一般的な例) 持ち帰り後の傷みの書き方

受取後の責任

よくある書き方受取後に生じた品質の変化について、当店は一切責任を負いません。
整えた書き方受取後の保管・放置・長時間の持ち歩きなど、お客様の取扱いに起因する品質の変化については、当店は責任を負いません。ただし、調理・容器・受渡しの際の当店の対応に原因がある場合を除きます。

理由「一切」とする書き方は、事業者の債務不履行による損害賠償責任の全部を免除する条項になり、消費者契約では無効とされる類型に当たります(消費者契約法8条1項1号)。原因で切り分ける書き方に直します。

食べる時間の案内

よくある書き方早めにお召し上がりください。
整えた書き方受取後はできるだけ早く、目安として記載した時間内にお召し上がりください。保冷・加熱が必要な料理は、ラベルの案内に従ってください。

理由抽象的な案内では、守られたかどうかを後から確かめられません。目安の時間は料理ごとに店が実際の管理に照らして決め、ラベルに載せます。

申出の期限

よくある書き方商品に問題がある場合は、受取後すぐにご連絡ください。
整えた書き方商品に問題がある場合は、受取後、お気づきになった時点で速やかに連絡窓口へご連絡ください。連絡の際、料理の状態が分かる写真などをお送りいただく場合があります。

理由「すぐ」と限定すると、後から気づいた問題を門前払いにする条項と受け取られかねません。気づいた時点で連絡してもらう形にして、確認方法を添えます。

容器包装に入れて売る持ち帰り食品の表示

店内で料理を出す場合と、容器に入れて持ち帰り用に売る場合とでは、食品表示のルールの適用が異なります。食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)の1条は、この府令は食品関連事業者等が加工食品、生鮮食品または添加物を販売する場合について適用する、ただし、加工食品または生鮮食品を設備を設けて飲食させる場合には、40条の規定を除き、適用しない、と定めています。この「ただし」の除外は、設備を設けて店内で飲食させる場合に限られています。したがって、持ち帰り用に容器包装に入れて販売する食品は、この除外にそのまま当たるとは限らず、食品表示基準の対象になり得ます。

同基準3条は、容器包装に入れられた加工食品(業務用加工食品を除く)を販売する際(設備を設けて飲食させる場合を除く)に、名称、保存の方法、消費期限または賞味期限、原材料名、添加物、内容量、食品関連事業者の氏名または名称および住所、製造所の所在地などの表示を求めています。加工食品の区分を定める別表第一には、「調理食品」として弁当、そうざいなどが挙げられています。つまり、店で調理した弁当や総菜を容器に詰めて持ち帰り用に販売する場合は、加工食品として表示が問題になり得る、ということです。

アレルギーの原因となる食品(特定原材料)の表示も、この基準で定められています。3条2項は、別表第十四に掲げる食品(特定原材料)を原材料とする加工食品などについて、アレルゲンの表示を求めており、別表第十四には、えび、カシューナッツ、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生の9品目が掲げられています。品目は改正により見直されることがあるため、実際に表示を作るときは、その時点の基準の原文で確認する必要があります。

食品表示基準5条は、義務表示の特例として、食品を製造し、または加工した場所で販売する場合には、原材料名、内容量、食品関連事業者の氏名または名称および住所、原産国名などの表示を要しないと定めています。店の厨房で作った弁当やそうざいを、その店で容器に詰めて売る場合が典型です。この特例の対象として挙げられているのは上記の事項で、名称、保存の方法、消費期限または賞味期限、添加物、アレルゲンなどは、特例の対象に挙がっていません。また、製造・加工した場所での販売に限った特例ですから、別の場所で販売する場合にまで当然に及ぶものではありません。

省略できる事項は、5条の特例のとおりです。そのうえで、規約のレベルの話として押さえておきたいのは、次の三点です。第一に、持ち帰り・配達の料理を容器包装に入れて販売する場合は、表示が必要かどうかを、料理ごとに先に確認すること。第二に、表示が必要な場合の記載内容は、規約ではなく、容器のラベルとして実物に載せること。第三に、ネットの注文画面に載せるアレルギー情報などの説明と、容器のラベルの内容が食い違わないようにすることです。

持ち帰り食品の表示を確かめる順序

  • 容器包装に入れて販売する料理か、その場で食べてもらう料理かを分ける。
  • 容器包装に入れる料理について、食品表示基準1条・3条の対象か、製造・加工した場所での販売として5条の特例に当たるかを確認する。
  • 表示が必要な場合は、名称・消費期限または賞味期限・アレルゲンなどを実物のラベルに載せる。原材料名や事業者名・住所などは、5条の特例に当たるときは不要とされる。
  • アレルゲンの品目は別表第十四の最新の原文で確認し、メニュー・注文画面の説明と一致させる。
  • 調理に使った原材料の入荷記録や配合表を、表示の根拠として残す。

配達を誰が担うかで、責任の分け方が変わる

配達には、店の従業員が自ら届ける形、外部の配達サービスに任せる形、注文の受付から配達までを提供する外部のプラットフォームを使う形があります。どの形でも、お客様から見れば、料理を注文した店との契約が中心ですが、途中の事故の責任をどう分けるかは、形によって変わります。

配達の三つの形と、規約で決めること

店の従業員が配達

店が受渡しまで一貫して担当

  • 配達中の事故や遅延は、店の債務不履行の問題として整理する。
  • 従業員の過失による第三者への損害は、使用者責任(民法715条)の問題になり得る。
  • 配達できる地域と時間、遅延時の連絡の方法を規約に書く。

外部の配達サービスに委託

店が配達だけを任せる

  • お客様との関係では、店が配達を含めて引き受けている形が多く、配達の担い手の過失の責任も店が負う前提で組む。
  • 店と配達サービスの間の責任の分担は、委託契約で別に決める。
  • 破損・汚損・紛失の連絡窓口を一本化する。

プラットフォームを利用

注文から配達まで外部が仲介

  • 注文・決済・配達のどこまでを店が引き受けるかは、プラットフォームの規約の定めに左右される。
  • お客様向けの店の規約と、プラットフォームの規約が食い違わないように確認する。
  • 返金や作り直しの判断を誰が行うかを、事前に確かめる。

形によって、お客様への責任の入口は店のままでも、内部の求償関係は変わります。お客様向けの規約と、委託先との契約を、別々に整えます。

外部の配達サービスに任せる場合は、お客様に対しては店が責任を負い、そのうえで店が配達サービスに対して、配達中の過失による損害の負担を求める、という二段構えにしておくのが整理しやすい形です。お客様向けの規約の中で「配達の担い手の過失による損害について、店は一切責任を負わない」と書いてしまうと、消費者契約法8条1項1号に反する条項になりかねません。責任の分担は、店と配達サービスの間の契約に書き、お客様向けの規約には、窓口を一本化して申出を受ける旨を書くのが基本です。

配達員が第三者に損害を与えた場合は、別の法律関係が生じます。民法709条は、故意または過失によって他人の権利または法律上保護される利益を侵害した者は損害を賠償する責任を負う、と定め、715条は、ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う(ただし、選任および監督について相当の注意をしたときなどを除く)と定めています。店の従業員が配達する場合は、この使用者責任の枠で考えることになりますが、外部の独立した事業者が配達する場合は、使用関係の有無から検討が必要になります。この点は規約ではなく、保険の加入や委託先との契約で手当てする領域です。

返金・作り直し・遅延の条件を書く

持ち帰りと配達で、苦情の入口になりやすいのは、料理が届かない、遅い、違う料理が届いた、数が足りない、容器が破損して中身がこぼれた、傷んでいた、の六つです。それぞれに、返金なのか作り直しなのか、どちらをお客様が選べるのか、店が決めるのかを書いておくと、対応が一定になります。

返金や作り直しの根拠は、契約の内容に適合しない料理を渡した場合に、買主が履行の追完や代金の減額を請求できるという民法562条以下の規定と、債務不履行があった場合の損害賠償を定めた同法415条にあります。規約でこれらを具体化するときは、お客様の請求を過度に制限する書き方は避けます。たとえば「返金のみ対応し、作り直しには応じない」「返金額は商品代金を上限とする」という書き方は、個別の事情を無視して請求を制限する条項として、消費者契約法10条の点検が必要になります。

お客様の事情で受け取れなかった場合は、別の整理が必要です。受取時間に間に合わなかった、不在だった、連絡がつかなかったといった場合、店が履行の提供をしたにもかかわらず、お客様が受け取れない状況になります。民法567条2項は、売主が契約の内容に適合する目的物で引渡しの債務の履行を提供したにもかかわらず、買主が履行を受けることを拒み、または受けることができない場合に、その提供の後に当事者双方の責めに帰することができない事由で目的物が滅失・損傷したときも、買主は、追完や代金減額などをすることができない、と定めています。つまり、店が適切に提供したのにお客様が受け取れなかった場合は、お客様の側の負担になり得ます。お客様から受取の前に取消しの連絡があった場合は、契約の解除にあたるため、返金しない額は消費者契約法9条1項1号の平均的な損害の範囲に収まる必要があります。連絡なく受け取りに来ない、不在で受け取れないという場合は、取消しの連絡による解除ではなく、上の567条2項のほか、受領遅滞の間は保存の注意義務が軽くなり、増えた費用はお客様の負担になること(同法413条)など、民法の整理が先に立ちます。どちらの場合も、これを規約で「受け取れなかった場合は返金しない」と一律に書くと、過大な額は消費者契約法10条や民法90条で争われるおそれがあります。キャンセル料の考え方は飲食店のキャンセル料の決め方で整理しています。

条文例返金・作り直しの条項の構成例(一般的な例)

  1. 当店が提供した料理が、注文の内容と異なるとき、数量が不足するとき、または受渡しの時点で品質に問題があったときは、お客様は、当店に対し、作り直し、不足分の提供、または代金の返金を求めることができます。
  2. 前項の申出は、お気づきになった時点で速やかに、連絡窓口に対して行ってください。申出の際は、料理の状態を確認するため、写真その他の資料の提示をお願いすることがあります。
  3. お客様の保管・放置・取扱いに起因して品質が変化したときは、当店は前項の責任を負いません。ただし、当店の調理、容器、受渡しの際の対応に原因があるときは、この限りではありません。
  4. お客様の不在または連絡不能のため、指定された時間に料理をお渡しできなかったときは、当店は一定の範囲で、再度の受渡しの手配または代金の取扱いについて、お客様と協議します。

内容の区切りの例です。実際の運用(再配達をするか、店頭保管にするか、返金するか)に合わせて、各項の中身を決めます。

確認の問いと理由持ち帰り・配達の規約を作る前の確認

  1. 受渡しの形は、店頭・店の配達・外部配達・置き配のうち、どれを使うか。

    形ごとに引渡しの時点が変わり、責任の入口も変わるため、まず使う形を確定する。

  2. 注文画面で、受取時間と連絡先を取っているか。

    不在・遅延・取り違えの対応は、連絡が取れるかどうかで大きく変わる。

  3. 傷みやすい料理について、置き配や長時間の保管を認めるか。

    認めるなら時間の上限と記録の方法を、認めないなら受取方法の制限を書く。

  4. 容器に入れて売る料理に、表示のラベルを付けているか。

    食品表示基準の対象になり得るため、ラベルの内容と注文画面の説明を一致させる。

  5. 配達を外部に任せる場合、事故時の窓口と負担の分け方を決めているか。

    お客様向けの規約と、委託先との契約を別々に整えないと、責任の押し付け合いになる。

起きがちなこと:注文から受取りまでの時間軸で見る

持ち帰り・配達で起きがちなこと

  1. 注文

    画面の料理名と、実際に作る料理の内容がずれる。アレルギーの記載が画面とラベルで違う。

    押さえる点注文確認の画面・メール・ラベルの内容を一致させ、受付時にアレルギーの有無を尋ねる。

  2. 調理・詰め

    温かい料理と冷たい料理を同じ袋に入れ、温度が移る。詰め間違いで別の注文の料理が入る。

    押さえる点詰める前の確認の手順を決め、袋の分け方を店のルールにする。ラベルと注文番号を合わせる。

  3. 受渡し

    時間に遅れて、お客様が待たされる。配達員に渡すとき、中身を確認する人がいない。

    押さえる点遅れた場合の連絡と対応を決める。外部配達なら引渡し時の確認項目を委託先と合意する。

  4. 受取後

    数時間後に傷みを訴える連絡が入るが、保管の状況が分からない。

    押さえる点保管の状況を尋ねる質問の項目を決め、写真の提出を求める。原因が店の側にあれば速やかに返金する。

  5. 返金・再発防止

    返金したが原因が分からず、同じ申出が繰り返される。

    押さえる点申出の内容・原因・対応を記録し、詰め方・容器・温度管理の見直しにつなげる。

持ち帰り・配達の規約で起きがちな不備

  • 「受取後は一切責任を負いません」と書き、消費者契約法8条1項1号に反する条項になっている。
  • 店頭受取りの規約を配達にもそのまま流用し、置き配や不在時の扱いが書かれていない。
  • 外部の配達サービスの規約を確認せず、お客様向けの規約と責任の分け方が食い違っている。
  • 容器に入れて販売する料理に、必要な表示が付いていない、またはアレルゲンの記載が画面とラベルで一致していない。
  • 返金か作り直しかを店が一方的に決める書き方になっていて、お客様の請求が過度に制限されている。

これらの不備は、トラブルが起きる前の見直しで防ぎやすくなります。キャンセルや返金の全体像は飲食店の規約・契約のトラブルとよくある質問にまとめています。

よくあるご質問

持ち帰り用の料理に「受取後は一切責任を負わない」と書いておけば安心ですか?

安心とは言えません。個人のお客様との契約では、責任の全部を免除する条項は消費者契約法8条1項1号により無効とされます。お客様の保管や放置など、お客様の取扱いに起因する場合に限って責任を負わない旨を書く形に整えます。免責の限界は、アレルギー・食中毒・異物混入のページで詳しく整理しています。

受け取った後に料理が傷んでいたと言われた場合、店が責任を負うのは、どの場合ですか?

傷みの原因が店の調理、容器、温度管理など、店の側にある場合は、引渡しの時に契約の内容に適合していなかったと見られ、お客様は民法562条による履行の追完などを求めることができます。一方、お客様が受け取った後に長く放置したなど、双方の責めに帰することができない事由による損傷は、引渡し後であれば買主の負担になります(民法567条1項)。原因を切り分けるため、保管の状況を尋ね、写真を求める運用が大切です。

持ち帰り用に容器に入れた弁当には、食品表示が必要ですか?

食品表示基準1条は、加工食品を設備を設けて飲食させる場合を、40条を除き適用の対象から外しています。この除外は店内で飲食させる場合に限られるため、容器包装に入れて持ち帰り用に販売する弁当やそうざい(別表第一の調理食品に挙げられています)は、同基準の表示の対象になり得ます。なお、同基準5条は、食品を製造し、または加工した場所で販売する場合について、原材料名や食品関連事業者の氏名・住所などの表示を要しないとする特例を置いています。

配達を外部のサービスに任せたとき、配達中の事故はお客様に対して誰が責任を負いますか?

お客様に対しては、注文を受けた店が配達まで含めて引き受けている形が多く、その場合は店が責任の窓口になります。そのうえで、店と配達サービスの間で、配達中の過失による損害の負担を、委託の契約に書いておくのが整理しやすい形です。お客様向けの規約で、配達の担い手の過失について店が責任を負わない、と書くことは、消費者契約法8条の点検が必要になります。

お客様の不在で料理を渡せなかった場合、返金しなくてもよいですか?

店が契約の内容に適合する料理で履行の提供をしたのに、お客様が受け取れなかった場合は、その後に双方に責任のない事由で料理が損傷しても、お客様は追完や代金減額などを請求できないとされます(民法567条2項)。受取の前にお客様から取消しの連絡があった場合は、契約の解除にあたるため、返金しない額は消費者契約法9条1項1号の平均的な損害の範囲に収まる必要があります。連絡なく受け取れなかった場合も、規約で一律に返金しないと定めると、過大な額は同法10条や民法90条で争われるおそれがあります。再配達や店頭保管など、店が選べる対応と、お客様に負担してもらう範囲を、損害の見立てに合わせて段階的に書くのが無理の少ない形です。

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本ページは一般的な情報提供です。個別の取引への当てはめは、営業の形態や契約の内容によって異なることがあります。書き方の例として紹介している内容は、契約書作成の実務でよく見られる書き方を整理した例で、特定の事業者や案件を示すものではありません。条文は e-Gov法令検索(法令API)で確認しています。参考: e-Gov法令検索 / 消費者庁 / 厚生労働省 / 個人情報保護委員会

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