ポイントカード・食事券・回数券・ギフトの規約:有効期限、払戻し、資金決済法の線引き

無償で付与するポイントと、代金を受け取って発行する食事券・回数券・ギフト券は、法律上の扱いが違います。後者は資金決済法の前払式支払手段に当たり得ます。届出が要る場合と適用除外、有効期限・払戻し・譲渡の規約、閉業のときの扱いを整理します。

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期限後は一切無効、閉業の場合も無効、と書けば安全に見えますが、代金を払ったお客様の権利を一方的に消滅させる条項は、消費者契約法10条の点検を免れません。

このページの要点

  • 資金決済法3条1項は「対価を得て発行される」券が対象。来店に応じて無償で付与するポイントは対象にならない。
  • 自店のみで使える自家型は、基準日(3月31日・9月30日)の未使用残高が1,000万円を超えると届出が必要(5条、施行令6条)。超えると供託の義務も生じる(14条)。
  • 発行の日から6か月以内に限り使える券、施設の利用に際して発行される食券などは適用除外になり得る(4条、施行令4条)。除外でも規約は必要。
  • 有効期限・譲渡・残額・払戻し・閉業時の扱いを規約に書く。規約の変更は民法548条の4の手順に従い、使用条件の表示は券面・店頭・ネットで一致させる。

結論:無償のポイントと、対価を得て売る食事券は法律上の扱いが違う。売る券は資金決済法の線引きを先に確かめる

飲食店のポイントカード、食事券、回数券、ギフト券は、お客様に繰り返し来てもらうための仕組みとして広く使われています。しかし、この三つは、書類の上でも法律の上でも、性質がまったく違います。来店や購入に応じて無償で付与するポイントは、店のサービスの一部で、法律上の規制は小さい部類です。これに対して、お客様から代金を受け取って発行する食事券や回数券は、「前払い」の性質をもち、一定の規模を超えると資金決済に関する法律(以下「資金決済法」)の前払式支払手段として、届出や供託、払戻しの規制がかかり得ます。

これらの券の規約を作るときに決めるべきことは、次の五つです。第一に、その券が無償で付与するものなのか、対価を得て発行するものなのか。第二に、対価を得て発行する場合に、資金決済法の規制の対象となるか、適用除外に当たるか。第三に、有効期限、譲渡、払戻し、紛失・再発行の扱い。第四に、店の閉業・譲渡・名称変更のときの扱い。第五に、券やポイントの使用条件の表示です。順番を間違えて、有効期限や払戻しの条項から先に書き始めると、そもそも適用される法律の枠を見誤ることがあります。

  • 無償で付与するポイントと、対価を得て発行する食事券・回数券・ギフト券を分けて考える。
  • 対価を得て発行する券は、金額型・物品型のどちらも、資金決済法3条1項の前払式支払手段に当たり得る。
  • 自店でのみ使える自家型は、基準日の未使用残高が基準額(政令で1,000万円)を超えると届出が必要になる(5条、施行令6条)。
  • 発行の日から6か月以内の使用に限る券や、施設の利用に際して発行される食券などは、適用除外に当たる場合がある(4条、施行令4条)。
  • 閉業・譲渡の際の扱いを規約に書き、使用条件は券・店頭・ネットの表示で一致させる。

メニューや料金の表示の言い方はメニュー・産地・価格の表示と景品表示法で、予約の事前決済はネット予約・事前決済・デポジットの規約と特商法の表示で扱います。このページでは、店が発行するポイント・食事券・回数券・ギフト券という「券」に絞ります。

無償のポイントと、対価を得て発行する券の違い

資金決済法3条1項は、前払式支払手段を二つの類型で定義しています。1号は、証票、電子機器その他の物に記載され、または電磁的方法により記録される金額(または、その単位数)に応ずる対価を得て発行される証票等または番号、記号その他の符号であって、発行者または発行者が指定する者から物品等を購入し、借り受け、または役務の提供を受ける場合に、代価の弁済のために提示、交付、通知その他の方法により使用することができるもの(金額型)。2号は、証票等に記載され、または記録される物品等または役務の数量に応ずる対価を得て発行される証票等または符号であって、発行者等に対して、提示、交付、通知その他の方法により、その物品等の給付または役務の提供を請求することができるもの(物品型)です。

どちらの類型にも共通するのは、「対価を得て発行される」という要件です。お客様から代金を受け取って発行する券が対象で、来店に応じて無償で付与するポイントは、この要件を満たさないため、前払式支払手段には当たりません。たとえば、「1,000円分のお食事券を1,000円で販売」「ランチ10回分の回数券を代金を受け取って販売」「5,000円分のギフト券を販売」は、対価を得て発行する券です。一方、「会計の100円ごとに1ポイント付与」「誕生日に無料のドリンク券を配布」は、対価を得ていないため、この法律の対象にはなりません。

ただし、無償のポイントでも、実質的に対価を得て発行されているとみなされる場合があります。たとえば、「現金でチャージすると同額のポイントが付与され、そのポイントで会計できる」仕組みや、「商品を購入した代金の一部がポイントに換わり、その後の購入に使える」仕組みなどは、仕組みの作り方によって、対価との結びつきが問題になり得ます。このような場合は、仕組みの実態と法令の条文を照らして確認する必要があります。

飲食店で使われる券・ポイントの種類と、法律上の位置づけ

種類代金を受け取るか資金決済法上の位置づけ
来店・購入に応じて無償で付与するポイント受け取らない対価を得て発行していないため、前払式支払手段には当たらない。規約で有効期限・使い方を定める
お食事券(金額が記載されたもの)受け取る金額型(3条1項1号)。適用除外に当たらなければ前払式支払手段
回数券・コース券(回数や料理が決まったもの)受け取る物品型(3条1項2号)。同様に、適用除外の有無を確認する
ギフト券・贈答用の券受け取る金額型または物品型。第三者が使うため、譲渡・紛失の扱いも規約に書く
入店時に発券される食券受け取る(その場で使う)特定の施設の利用に際し発行される食券等として、適用除外に当たり得る(施行令4条1項3号)

前払式支払手段に当たる場合:自家型の届出と供託

飲食店が発行する食事券や回数券は、多くの場合、その店でのみ使えるものです。資金決済法では、発行者と、発行者が指定する者(密接関係者を含む)にのみ使える前払式支払手段を、自家型前払式支払手段と呼んでいます。自家型については、5条1項が、自家型前払式支払手段のみを発行する者は、基準日においてその基準日未使用残高が、発行を開始してから最初に基準額(14条1項に規定する基準額)を超えることとなったときは、内閣府令で定めるところにより、氏名・商号・名称、住所、前払式支払手段の種類・名称、使用できる期間、発行の業務の内容および方法などを記載した届出書を、内閣総理大臣に提出しなければならない、と定めています。

ここでいう基準日は、毎年3月31日および9月30日です(同法3条2項)。基準日未使用残高は、基準日までに発行した前払式支払手段の、基準日における未使用残高の合計額です。基準額は、14条1項が政令で定める額とし、資金決済法施行令6条が「千万円」と定めています。つまり、自店でのみ使える食事券・回数券・ギフト券の未使用残高が、基準日の時点で1,000万円を超えた場合に、届出が必要になります。小規模な飲食店の食事券では、この額に達しない場合が多いですが、複数店舗を展開する場合や、ギフト券を大量に販売する場合には、超えることがあり得るため、残高を基準日ごとに確認しておく必要があります。

基準額を超えた場合には、届出に加えて、14条1項により、基準日未使用残高の2分の1以上の額に相当する発行保証金を、最寄りの供託所に供託する義務も生じます。また、13条は、前払式支払手段発行者に、発行する場合の情報の提供として、氏名・商号または名称、支払可能金額等、使用できる期間または期限、苦情・相談に応ずる営業所等の所在地および連絡先などを、利用者に提供することを求めています。

ここまでの規制は、あくまで基準額を超えた場合や、適用除外に当たらない場合の話です。適用除外に当たる場合や、基準額に達しない場合は、届出や供託の義務は生じませんが、お客様との契約としての規約は、いずれの場合でも必要になります。また、届出が必要かどうか、どの様式をどこに提出するかといった具体的な手続は、条文と所管官庁の資料で確認が必要です。このガイドでは、規約に何を書くかに絞って整理します。

券を発行するときの判定の流れ

代金を受け取るか受け取らない無償のポイントなどは、前払式支払手段に当たらない。
適用除外に当たるか6か月以内の使用に限る券、施設の利用に際して発行される食券などを確認する。
自店のみで使えるか自店でのみ使える自家型か、他店でも使える第三者型かを確認する。
未使用残高の確認基準日ごとに未使用残高を集計し、基準額を超えていないかを確認する。
規約と表示を整える有効期限・払戻し・譲渡などの規約と、券への表示を整える。

多くの飲食店は自家型にとどまります。他店でも使える共通券を発行する場合は、別の登録の規制がかかるため、条文で確認が必要です。

適用除外の読み方

資金決済法4条は、前払式支払手段のうち、この章の規定を適用しないものを列挙しています。飲食店の食事券に関係し得るのは、次のものです。

適用除外の主な類型と、飲食店での読み方

条文内容飲食店での読み方
4条1号・施行令4条1項3号乗車券、入場券その他これらに準ずるものであって政令で定めるもの。政令は、特定の施設または場所の利用に際し発行される食券その他の証票等で、その施設・場所の利用者が通常使用することとされているものを挙げる入店後に券売機で発券して、その場で使う食券などが該当し得る。事前に販売して後日使う食事券は、この類型にそのまま当たるとは限らず、実態に照らして確認が必要
4条2号・施行令4条2項発行の日から政令で定める一定の期間内に限り使用できる前払式支払手段。期間は6か月発行の日から6か月以内に限って使える券は、除外に当たり得る。有効期限の設定が、適用の有無を左右する
4条5号・施行令4条4項専ら発行者の従業員に対して発行される自家型前払式支払手段(専ら従業員が使用することとされているもの)など従業員向けの食事補助の券などが該当し得る。お客様向けの券には当たらない
4条7号その利用者のために商行為となる取引においてのみ使用することとされている前払式支払手段事業者間の取引だけに使う券が該当し得る。個人のお客様が使える券は、この類型に当たらない

適用除外に当たる場合でも、お客様との契約としての規約が不要になるわけではありません。有効期限、払戻し、譲渡、紛失などの扱いは、民法や消費者契約法の枠で決めることになります。また、期間を6か月以内にして除外を受けるつもりで、実際には延長や再発行を繰り返して、実質的に6か月を超える運用になっている場合は、除外に当たるかどうかを再度確認する必要があります。

有効期限・譲渡・払戻し・再発行の規約

券の規約で、お客様とのトラブルが多いのは、有効期限が切れたときの扱いです。「期限が過ぎた券は無効とし、払戻しはしません」という条項は、お客様が代金を支払って券を購入しているため、期限後に何も返さない結果になり、お客様に不利な条項です。前払式支払手段にあたる場合は、資金決済法20条5項が、発行者は、同条1項各号(発行の業務の廃止など)の場合を除き、発行する前払式支払手段について、保有者に払戻しをしてはならないと定め、ただし内閣府令で定める場合は除くとしています。この内閣府令(前払式支払手段に関する内閣府令)42条は、払戻しが認められる場合として、一定の割合の範囲内の払戻しや、保有者のやむを得ない事情により利用が著しく困難となった場合などを定めています。つまり、前払式支払手段にあたる場合は、払戻しを原則として行わない前提で、期限や使い方の規約を組むことになります。

一方で、適用除外に当たる券や、前払式支払手段にあたらない券については、払戻しの可否は契約で決めることになりますが、消費者契約法の規律を受けます。同法10条は、法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比べて消費者の権利を制限し、または義務を加重する条項であって、民法1条2項の基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものを、無効としています。払戻しの手数料や、期限後の一切の権利の消滅を定める条項は、この観点から点検が必要です。

規約を後から変える場合は、民法548条の4が、定型約款の変更の要件と手続を定めています。変更が相手方の一般の利益に適合するとき、または契約をした目的に反せず、変更の必要性、変更後の内容の相当性、変更をすることがある旨の定めの有無などに照らして合理的なときは、個別に合意しなくても契約内容を変更できます。変更するときは、効力発生時期を定め、変更する旨および変更後の内容と効力発生時期をインターネットの利用その他の適切な方法で周知しなければなりません。すでに発行した券の有効期限を短くするような変更は、お客様の一般の利益に適合するとは言えないため、変更の合理性が厳しく問われます。

書き方の例(一般的な例) 有効期限・払戻しの書き方

期限後の扱い

よくある書き方有効期限を過ぎた券は無効となり、いかなる場合も払戻しはしません。
整えた書き方有効期限を過ぎた券は、ご利用いただけません。ただし、当店の事情により期限内にご利用いただけなかった場合は、当店は期限の延長または代金の返還について、お客様と協議します。

理由店側の事情で使えなかったのに、一律に権利を消滅させる書き方は、消費者契約法10条の点検が要る。店側の事情による場合を別に書く。

おつり

よくある書き方券の額面を下回る金額のご利用の場合、残額の払戻しはしません。
整えた書き方券の額面を下回る金額のご利用の場合、残額は、有効期限内に限り、次回以降のご利用にお使いいただけます。

理由残額を消滅させる扱いは、お客様の不満の原因になる。残額の扱いを具体的に書く(前払式支払手段にあたる場合は、払戻しの扱いも別に確認する)。

規約の変更

よくある書き方当店は、いつでも本規約を変更できるものとし、変更後はすべての券に適用します。
整えた書き方当店は、民法548条の4の規定に基づき、本規約を変更することがあります。変更するときは、効力発生時期を定め、店頭およびウェブサイトで、変更の内容と効力発生時期を周知します。

理由変更の根拠と周知の方法を書く。すでに発行された券の権利を不利益に変更する場合は、変更の合理性が問われる。

条文例食事券・回数券の規約の構成例(一般的な例)

  1. 本券は、当店でのお食事の代金のお支払いに限り、有効期限までご利用いただけます。他店でのご利用や、現金との引換えはできません。
  2. 本券の有効期限は、券面に記載のとおりとします。有効期限を過ぎた券はご利用いただけません。ただし、当店の事情により有効期限内にご利用いただけなかったときは、当店はお客様と協議して対応します。
  3. 本券は、第三者に譲渡または贈与することができます。紛失、盗難、滅失、毀損した券については、再発行しません。ただし、券の番号などにより当店が券の特定ができる場合は、この限りではありません。
  4. 本券のご利用の際、券面の額を超える場合は、不足分を現金その他の方法でお支払いください。券面の額を下回る場合の残額は、第2項の有効期限内に限り、再度ご利用いただけます。

再発行の有無、譲渡の可否、残額の扱いは、店の運用に合わせて決めます。前払式支払手段にあたる場合は、払戻しの扱いも別に確認します。

閉業・譲渡・名称変更のときの扱い

券の規約で、見落とされやすいのが、店が閉業したり、事業を譲渡したりするときの扱いです。券を持っているお客様は、閉業した店には使えず、代金を払った分の損失を負います。前払式支払手段にあたる場合は、資金決済法20条1項1号が、前払式支払手段の発行の業務の全部または一部を廃止した場合(相続、事業譲渡、合併、会社分割その他の事由により、その業務の承継が行われた場合を除く)に、発行者は、保有者に、残高として内閣府令で定める額を払い戻さなければならない、と定めています。払戻しをする場合は、20条2項により、払戻しをする旨、保有者は60日を下らない一定の期間内に債権の申出をすべきこと、その期間内に申出をしない保有者は払戻しの手続から除斥されること、その他内閣府令で定める事項を公告し、保有者に情報を提供しなければなりません。

この規定は、前払式支払手段にあたる券についてのものです。適用除外に当たる券や、規制の対象にならない券でも、閉業の際の扱いは、契約として決めておく必要があります。「閉業の場合は、券は無効になります」と一方的に書くと、代金を支払ったお客様の権利を一方的に消滅させる条項として、消費者契約法10条の観点から問題になります。閉業の予定が見えた時点で、券の販売を止め、既存の券の使い方や払戻しの方法を周知する、といった運用を規約に書くのが現実的です。

事業の譲渡や店の運営を他者に任せる場合は、券の債務をどちらが引き継ぐかを決める必要があります。事業譲渡では、譲渡する契約の中で、券の債務を譲受人が引き継ぐことを定め、お客様に周知します。店の運営を別の事業者に任せる場合に、券の発行者が誰か、使える店はどこか、という点も整理が必要です。運営の委託の契約の中の費用や責任の分け方は、別のガイドで扱います。

券の発行から閉業までの時間軸

  1. 発行

    券面に有効期限や使用条件を書かない。販売時の説明が店員ごとに違う。

    押さえる点券面または添付の紙に、有効期限・使えるメニュー・残額の扱いを書く。販売時の説明を統一する。

  2. 使用

    額面を超えた使用、おつり、他の割引との併用で口頭の説明が食い違う。

    押さえる点併用の可否、おつりの有無を規約に書き、会計の担当者が同じ説明をできるようにする。

  3. 期限

    期限を過ぎた券を持ち込まれ、現場の判断で受けたり断ったりして対応が揺れる。

    押さえる点期限後の扱いを規約に書き、店側の事情があった場合の例外を決める。

  4. 残高の管理

    発行枚数と使用枚数を集計しておらず、未使用残高が分からない。

    押さえる点基準日(3月31日・9月30日)ごとに、発行額と未使用残高を集計する。

  5. 閉業・譲渡

    閉業の直前に券を売り続け、その後の扱いを決めていない。

    押さえる点閉業が見えたら販売を止め、既存の券の扱いを周知する。事業譲渡では債務の引継ぎを決める。

ポイントの規約と、使用条件の表示

無償のポイントは、法律上の規制が小さい反面、規約として決めておくことが多くあります。有効期限(最後の来店から一定期間など)、ポイントの交換の条件、会員の退会時の扱い、不正利用があった場合の失効、規約の変更などです。無償のポイントの付与も、お客様の期待を生む仕組みのため、突然の廃止や、大幅な条件の変更をするときは、事前の周知が必要です。規約の変更は、民法548条の4の手順に従います。

会員の情報を取得する場合は、個人情報の取扱いも整える必要があります。個人情報の保護に関する法律17条は、個人情報を取り扱うに当たり、利用目的をできる限り特定しなければならないと定め、21条は、個人情報を取得した場合は、あらかじめその利用目的を公表している場合を除き、速やかにその利用目的を本人に通知し、または公表しなければならないと定めています。ポイントカードの申込書や、ネット会員の登録画面に、利用目的(ポイント管理、キャンペーンの案内など)を示しておきます。

ポイントやクーポンの使用条件の表示は、景品表示法5条2号の有利誤認の観点から注意が必要です。「ポイント2倍」「全品20%還元」といった表示に、対象外の商品、期間、上限、他のサービスとの併用の制限がある場合は、条件を表示の近くにはっきりと書きます。条件を離れた場所に小さく書くだけでは、お客様に実際より有利だと誤認させるおそれがあります。また、ポイントの付与が景品類の提供に当たる場合は、景品表示法4条に基づく制限の対象になり得ます。具体的な制限の内容は、告示と運用基準の原文で確認が必要です。

確認の問いと理由ポイント・券の規約を作る前の確認

  1. その券は、代金を受け取って発行するものか、無償で付与するものか。

    対価を得て発行する券は、資金決済法3条1項の前払式支払手段に当たり得る。

  2. 発行する券は、有効期限が発行の日から6か月以内か。

    6か月以内の使用に限る券は、適用除外に当たり得る(4条2号、施行令4条2項)。

  3. 基準日ごとの未使用残高を集計しているか。

    自家型は、基準日の未使用残高が1,000万円を超えると届出が必要になる(5条、施行令6条)。

  4. 期限後・閉業時の扱いが、規約に書いてあるか。

    一方的な権利の消滅は、消費者契約法10条の点検が要る。

  5. 券面・店頭・ネットの使用条件の表示は、一致しているか。

    条件の食い違いは、有利誤認や苦情の原因になる。

食事券・ポイントの規約で起きがちな不備

  • 無償のポイントと、代金を受け取る食事券を区別せず、同じ規約にまとめている。
  • 有効期限を決めず、いつまでも使える券を発行し続け、未使用残高の把握ができていない。
  • 「期限後は一切無効」「閉業の場合は無効」など、お客様の権利を一方的に消滅させる条項になっている。
  • 券の使用条件が、券面・店頭・ネットで食い違っている。
  • 閉業・事業譲渡のときの券の扱いを決めておらず、お客様への周知もない。

券の規約を含め、飲食店の書類全体の地図は飲食店の規約・契約書の全体像に、トラブルになったときの確認は飲食店の規約・契約のトラブルとよくある質問にまとめています。

よくあるご質問

来店ごとに付与するポイントにも、資金決済法の規制はかかりますか?

かかりません。資金決済法3条1項の前払式支払手段は、いずれも対価を得て発行されるものを対象としています。来店や購入に応じて無償で付与するポイントは、この要件を満たさないため、同法の対象にはなりません。ただし、現金でチャージした額にポイントが付与される仕組みなど、実質的に対価との結びつきがある場合は、仕組みの実態に照らして確認が必要です。規約としては、有効期限や使い方を定めておきます。

お食事券を販売する場合、必ず届出が必要ですか?

必ずではありません。自店でのみ使える自家型前払式支払手段の場合、基準日(3月31日と9月30日)の未使用残高が、発行を開始してから最初に基準額を超えたときに届出が必要になります(資金決済法5条)。基準額は、同法14条1項を受けた施行令6条で1,000万円とされています。また、発行の日から6か月以内に限り使用できる券などは、適用除外に当たる場合があります(同法4条、施行令4条)。

有効期限が切れた食事券は、払戻しをしなくてもよいですか?

前払式支払手段にあたる場合は、資金決済法20条5項により、発行の業務の廃止などの場合を除き、払戻しは原則として行ってはならないとされています(内閣府令で定める場合を除く)。そのため、有効期限と使い方の規約を組むことになります。一方、適用除外などの場合は、払戻しの可否は契約で決めることになりますが、お客様の権利を一方的に消滅させる条項は、消費者契約法10条の点検が必要です。店側の事情で使えなかった場合は、別に協議する形にしておくと整理しやすくなります。

店を閉める場合、お客様が持っている食事券はどうなりますか?

前払式支払手段にあたる券については、資金決済法20条1項1号により、発行の業務を廃止した場合(業務の承継が行われた場合を除く)に、保有者に残高を払い戻す義務があり、払戻しの旨や債権の申出の期間(60日を下らない期間)などを公告する必要があります(同条2項)。それ以外の券でも、閉業時の扱いを一方的に無効とする条項は、消費者契約法10条の観点から問題になります。閉業が見えた時点で販売を止め、既存の券の扱いを周知するのが基本です。

ポイントの有効期限を、後から短くすることはできますか?

規約の変更として行う場合は、民法548条の4の要件を満たす必要があります。変更が相手方の一般の利益に適合するとき、または契約をした目的に反せず、変更の必要性、変更後の内容の相当性、変更することがある旨の定めの有無などに照らして合理的なときに限り、個別の合意なしに変更できます。変更する場合は、効力発生時期を定め、変更の内容と効力発生時期を周知します。有効期限を短くする変更は、お客様の不利益になるため、合理性が厳しく問われます。

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