このページの要点
- 店内の掲示は定型約款にあたる場合があり、契約の内容とする旨を事前に表示していれば個別の条項にも合意したものとみなされる(民法548条の2)。
- 入店を断るかどうかは原則として自由(民法521条)だが、基準のない拒否や過剰な対応は権利の濫用になり得る。
- 荷物の預かりは商法596条〜598条の定めがあり、高価品は申告がなければ責任を負わない(597条)。
- 予約者の個人情報は、取得の前に利用目的を明示する(個人情報保護法17条・21条)。
結論:張り紙は「契約の内容」になる場合とならない場合がある
入口やテーブルに貼った「撮影はご遠慮ください」「持込みは禁止です」「混雑時は90分でお願いします」といった張り紙に、お客様を縛る力があるのかは、飲食店でよく出る疑問の一つです。結論から言うと、張り紙の文言が自動的に契約になるわけではありません。契約の内容になるのは、お客様が注文をして飲食の提供を受けるという契約を結ぶ時点で、そのルールが契約の条件として示されていた場合です。注文の後で初めて示されたルールや、お客様の目に入らない場所に貼られたルールは、契約の内容と言いにくくなります。
また、契約の内容になったとしても、そのルールを根拠に何ができるかには限界があります。たとえば、迷惑行為を理由に退店をお願いすることはできても、その場で力ずくで退去させたり、代金とは別に高額の金銭を課したりする書き方は、規約に置いても通用しません。預かった荷物についての責任を「一切負わない」と掲示しても、法律上、その責任は免れません(商法596条3項)。このページでは、店内のルールを、どの順で、どのような言い方で示せば効力を持ちやすいか、そして限界はどこにあるかを、条文に沿って整理します。個人情報(予約者の連絡先など)の利用目的の示し方も、あわせて扱います。
なお、このページは、飲食店の店内での利用ルールに絞ります。予約のキャンセル料はキャンセル料の決め方、アレルギーや食中毒はアレルギー・食中毒のページ、貸切や宴会は宴会・貸切のページで扱います。
店内の掲示と契約の関係:定型約款にあたるか
飲食店は、不特定多数のお客様を相手にして、同じ条件で飲食を提供しています。このように、ある事業者が不特定多数の者を相手に行う取引で、内容の全部又は一部が画一的であることが双方にとって合理的なものを、民法は「定型取引」と呼びます。そして、定型取引で、契約の内容とすることを目的として事業者が準備した条項の総体を「定型約款」といいます(民法548条の2第1項)。飲食店の店内ルールや予約の条件は、この定型約款にあたる場合があります。
定型約款にあたる場合の大きな効果は、お客様が条項を一つひとつ読んでいなくても、次のいずれかがあれば、個別の条項にも合意したものとみなされることです。一つは、定型約款を契約の内容とする旨の合意をしたとき。もう一つは、準備した事業者があらかじめ「この約款を契約の内容とします」と相手方に表示していたときです(民法548条の2第1項1号、2号)。飲食店でいえば、入口に「ご入店のお客様には、店内の利用ルールをお守りいただきます」と掲示し、そのルールを席に着く前に読める状態にしておくことが、事前の表示にあたります。
掲示や条件が契約の内容になりやすいかどうか
| 場面 | なりやすさ | 理由と注意 |
|---|---|---|
| 予約のときに画面で条件を示し、同意を得た | 高い | 契約の内容とする旨の合意があるといえる。確認メールにも同じ内容を残す |
| 入口に、ルールを契約の内容とする旨の掲示をしている | 比較的高い | 席に着く前に読める位置か、文字の大きさが適切かが問われる |
| テーブルの隅に小さく貼ってあるだけ | 低い | お客様が目にしたと言えないと、契約の条件として主張しにくい |
| 料理を出した後、会計の段階で初めて伝えた | 低い | 注文の時点で示されていない条件は、後出しになる。お通し、席料などは特に注意 |
| スタッフが口頭で個別に説明し、お客様が了承した | 個別の合意として成立しうる | 後で争いになったときに、誰が何を言ったかの記録が残らない |
表の最後の行のように、口頭で個別に合意をしたのであれば、定型約款の問題とは別に、その合意が契約になります。ただし、飲食店で口頭の説明に頼ると、混雑した店内では、説明したかどうかが証明できません。掲示と画面表示という形で、誰が見ても同じ内容を確認できる状態にしておくと、条件を示したことの有力な材料になります。
もう一つ、定型約款には、お客様の側の権利があります。定型取引を行う事業者は、合意の前、または合意の後相当の期間内にお客様から請求があった場合には、遅滞なく、相当な方法で約款の内容を示さなければなりません(民法548条の3第1項)。合意の前に請求を拒んだときは、約款を契約の内容とするという前記のみなし合意の規定が適用されなくなります(同条2項。一時的な通信障害などの正当な事由がある場合を除く)。たとえば、お客様から「ルールの全文を見せてください」と言われたときに、店が応じられないと、そのルールを契約の内容として主張しにくくなります。
確認の問いと理由掲示を契約の内容にするための確認
席に着く前に、ルールが目に入る位置にあるか
契約の内容とする旨の「事前の表示」にあたるかが、この位置で左右されます。
掲示の内容と、予約画面や確認メールの内容が一致しているか
食い違っていると、お客様の有利に解釈されやすくなります。
ルールの全文を見せてほしいと言われたときに、見せられるか
請求を拒むと、みなし合意の規定が働かなくなります(民法548条の3)。
お客様の利益を一方的に害する条項になっていないか
そのような条項は、合意しなかったものとみなされます(民法548条の2第2項)。
持込み・撮影・席の利用時間・追加注文の書き方
店内のルールで多いのは、持込み、撮影、席の利用時間、最低注文の四つです。どれも、お店の営業の事情から必要になるルールですが、お客様の目線では「当たり前ではない制約」です。そのため、理由と範囲を書くことが、ルールを受け入れてもらうための第一歩になります。
店内ルールごとの書き方の要点
| ルール | 書くこと | 書き方で避けたいこと |
|---|---|---|
| 飲食物の持込み | 持込みを認めるか、認める場合の範囲(誕生日のケーキなど)、持込み料を取るなら金額と対象、衛生上の理由 | 「一切の責任を負いません」と書く。持込み品に起因する事故の責任は、持込んだお客様の側にあることを具体的に書く |
| 撮影 | 撮影してよい範囲(料理のみ、他のお客様やスタッフが写り込まない範囲)、SNSへの投稿の可否、業務用の撮影の扱い | 他のお客様の写り込みについて責任を負わないと一律に書く。許可を求める手順を決める |
| 席の利用時間 | 時間の上限、延長の可否と料金、予約の次の枠がある場合の扱い | 注文の後に初めて時間制限を告げる。席に着く前に示す |
| 最低注文(ワンドリンク制等) | 一人あたりの最低注文、お子様の扱い、注文がない場合の対応 | 会計の段階で初めて請求する。席料やチャージは、メニューや予約画面に事前に表示する |
| 追加注文・ラストオーダー | ラストオーダーの時刻、閉店の時刻、飲み放題の終了時刻 | 「営業状況により変更する」とだけ書き、基準を示さない |
条文例店内利用ルールの条文例(掲示・予約画面の短い形)
- 当店は、ご入店のお客様に、本ルールを契約の内容として適用します。ご入店は、本ルールをご確認のうえお願いします。
- 飲食物の持込みは、あらかじめ当店に申し出て承諾を得た場合に限り、承諾の範囲で認めます。持込み品に起因して生じた事故の責任は、当店の責めに帰すべき事由がある場合を除き、持込みをされたお客様が負います。
- 店内での撮影は、料理と、ご自身の同席者に限り認めます。他のお客様やスタッフが写り込む撮影は、本人の承諾を得てください。周囲のお客様のご迷惑となる場合は、撮影の中止をお願いすることがあります。
- 混雑時は、お席のご利用時間を○分としています。時間の定めがある日は、ご予約時またはご入店時にお知らせします。
- ほかのお客様や従業員のご迷惑となる行為があったときは、当店は、行為の中止または退店をお願いすることがあります。
実際の時間、金額、範囲はお店の運営に合わせて定めます。「当店の責めに帰すべき事由がある場合を除き」と、責任の線を限定する形にしています。
書き方の例(一般的な例) ルールの書き方
持込み
理由責任の全部を免除する条項は、消費者契約法8条1項により無効になります。誰の責任になる場面かを具体的にすれば、書いた趣旨が通用しやすくなります。
席の時間制限
理由「異議を述べない」とする書き方は、消費者契約法10条の観点から、お客様の権利を一方的に制限するとされるおそれがあります。お願いの形にして、理由を示すと受け入れられやすくなります。
なお、ここでいう「ルール」は、お客様に守ってもらう契約上の条件です。違反したときに、お客様にお金を請求する条項(違約金など)を置く場合の注意点です。契約を続けたまま違反に科す違約金は、消費者契約法9条1項1号の直接の対象ではありません。ただし、民法420条で予定できるとしても、過大な額は消費者契約法10条や民法90条によって効力が否定されるおそれがあります。違反を理由に契約を解除して違約金を請求する形なら、9条1項1号により、同種の契約の解除に伴い事業者に生ずべき平均的な損害の額を超える部分が無効になります。店内ルールの違反に対して高額の金銭を課す書き方は、いずれの形でも避けた方が安全です。
迷惑行為と入店拒否・退店の条項の置き方と限界
飲食店の規約には、「迷惑行為をしたお客様には、入店をお断りする、または退店をお願いする」という条項がよく置かれます。この条項について、まず、法律上の出発点を確認します。民法は、契約をするかどうかは、法令に特別の定めがある場合を除き、自由に決められると定めています(民法521条1項)。つまり、飲食店は、お客様と飲食の契約を結ぶかどうかを、原則として自由に決めることができます。そのため、迷惑行為を繰り返したお客様に、以後の入店をお断りすること自体は、契約の自由の範囲内で考えられます。
ただし、断る理由が不合理で差別的であったり、断り方が過剰であったりすると、権利の濫用(民法1条3項)や信義則(同条2項)の問題になり得ます。「当店が不適切と判断したお客様」といった、基準のない書き方では、運用が恣意的になり、争いのもとになります。入店拒否や退店の条項は、「どのような行為が対象か」「何段階の対応をするか」を具体的に書くことで、運用の根拠にも、お客様への説明にもなります。
迷惑行為への対応の段階
各段階の対応は、記録に残しておくと、後で説明しやすくなります。段階を飛ばすのは、危険を伴う場合など、やむを得ない場合に限ります。
退店を求めたのに、お客様が応じないという場合は、どうなるでしょうか。刑法130条は、正当な理由がないのに、人の看守する建造物に侵入し、または要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者を、3年以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金に処すると定めています。ただし、飲食店のように、不特定多数の客に開放されている場所で、どの時点から「退去しなかった」と評価できるかは、状況ごとの個別の判断です。規約に書くだけで、処罰や強制ができるようになるわけではありません。規約は、お客様への事前の周知と、店の対応の根拠を整える役割にとどめ、力ずくで退去させることを前提にした条項は置かない方が安全です。
書き方の例(一般的な例) 入店拒否・退店の書き方
対象の行為
理由基準のない条項は、運用が恣意的になり、権利の濫用と評価されるおそれがあります。対象の行為を例示して、何が問題かを明らかにします。
代金の扱い
理由損害賠償の額を実損の範囲と書けば、予定額を超える請求と受け取られにくくなります。違約金のように定額で課すと、過大な額は消費者契約法10条や民法90条の問題になります。
荷物・預かり物・忘れ物の責任と、免責の限界
飲食店で荷物のトラブルは、案外多く起きます。コートや荷物をクロークで預かって紛失した、席に置いたバッグが盗まれた、帰った後に忘れ物が見つかった、などです。ここは、飲食店に特有の法律の定めがあります。
商法は、旅館、飲食店、浴場その他の客の来集を目的とする場屋における取引を業とする者を「場屋営業者」と呼びます。そして、場屋営業者は、客から寄託を受けた物品の滅失又は損傷について、不可抗力によるものであったことを証明しなければ、損害賠償の責任を免れることができません(商法596条1項)。寄託とは、ある物を保管することを相手方に委託し、相手方が承諾することによって成立する契約です(民法657条)。条文は、寄託を有償と無償で区別していません。クロークでコートを預かる場合は、この寄託にあたります。
さらに、客が寄託していない物品でも、場屋の中に携帯した物品が、場屋営業者が注意を怠ったことによって滅失し、または損傷したときは、場屋営業者は損害賠償の責任を負います(同条2項)。席に置いたバッグの盗難でも、店が注意を怠ったことが原因であれば、責任を問われ得ます。そして、重要なのは同条3項です。客が場屋の中に携帯した物品につき責任を負わない旨を表示したときであっても、場屋営業者は、1項と2項の責任を免れることができません。つまり、「お客様の持ち物は、当店は一切責任を負いません」と掲示しても、法律上は責任を免れないということです。
荷物・預かり物の場面別の整理
| 場面 | 店の責任の考え方 | 条文・書き方の要点 |
|---|---|---|
| クロークで預かった | 不可抗力を証明できなければ、責任を免れない | 商法596条1項。預かりの範囲(品目、数量)と、引換えの手順を決める |
| 席に置いた荷物が盗まれた | 店が注意を怠ったことによる場合は責任を負う | 商法596条2項。貴重品は身に付けるようお願いし、店が行う注意(見回り、鍵付きの置き場など)を示す |
| 現金・有価証券などの高価品 | 客が種類と価額を通知して寄託した場合を除き、責任を負わない | 商法597条。高価品は預からない、または申告を求める旨を掲示する |
| 傘・コートなど、通常の携帯品 | 高価品にあたらなければ、上記の責任の対象 | 預かり札の発行と、受渡しの確認の手順を決める |
| 責任の請求の期限 | 物品の返還又は持ち去りから1年間行使しないと時効で消滅(悪意の場合を除く) | 商法598条。店が悪意(滅失・損傷を知っていた)の場合は、この短い時効は適用されない(同条2項) |
表のとおり、飲食店の荷物の責任は、法律が相当程度定めています。そこで、規約や掲示では、責任を「なくす」書き方ではなく、責任が生じる範囲を明らかにし、お客様に協力を求める書き方が現実的です。たとえば、高価品は預からないこと、貴重品は身に付けること、預かり品は預かり札と引換えに返すことを書きます。
書き方の例(一般的な例) 荷物の責任の書き方
掲示
理由商法596条3項により、責任を負わない旨の表示をしても場屋営業者は責任を免れません。免責の表示を、預かりの範囲と注意喚起の表示に切り替えます。
忘れ物
理由保管期間と連絡方法を示し、お返しする際には本人であることを確認する手順を決めます。「異議を述べない」とする書き方は、消費者契約法10条の観点から避けます。
予約者・来店者の個人情報の利用目的の示し方
予約を受ける飲食店は、お客様の氏名や電話番号、メールアドレス、アレルギーの情報などを取得します。これらは個人情報にあたり、個人情報保護法の規律の対象になります。店内ルールの一部として、利用目的の示し方を確認しておきます。
個人情報取扱事業者は、個人情報を取り扱うに当たっては、利用の目的をできる限り特定しなければなりません(個人情報保護法17条1項)。また、個人情報を取得した場合は、あらかじめ利用目的を公表している場合を除き、速やかに、利用目的を本人に通知し、または公表しなければなりません(同法21条1項)。さらに、契約の締結に伴って契約書その他の書面(電磁的記録を含む)に記載された本人の個人情報を取得する場合その他、本人から直接書面に記載された個人情報を取得する場合は、あらかじめ、本人に対して利用目的を明示しなければなりません(同条2項)。ネットの予約フォームは、この書面(電磁的記録を含む)の場合にあたります。
個人情報の取得の場面と利用目的の示し方
| 場面 | 示し方の考え方 | 注意 |
|---|---|---|
| ネットの予約フォーム | フォームの入力前の画面に、利用目的を明示する(同法21条2項) | 予約の確認と連絡のほか、メールマガジンの配信などの目的がある場合は、別の目的として明記する |
| 電話の予約の聞き取り | 予約の確認と連絡のために使うなら、取得の状況から利用目的が明らかと認められる場合にあたり得る(同条4項4号) | 後日の案内やダイレクトメールに使う場合は、その旨を別途通知または公表する |
| アレルギーなどの申告の聞き取り | 対応の目的に限って使うことを伝え、記録の保管の仕方を決める | 病気や体質に関する情報は、慎重に扱う。必要以上に聞かない |
| 防犯カメラの映像 | 撮影していること、目的(防犯等)を、入口などに掲示する | 映像に映る人物が特定できる場合は、個人情報として取り扱う |
利用目的を変更するときは、変更前の目的と関連性を有すると合理的に認められる範囲を超えてはならないとされています(同法17条2項)。予約の連絡のために取得した連絡先を、まったく別の目的に使うことは、この範囲を超えるおそれがあります。本人の同意があれば、特定した利用目的の範囲を超えて取り扱うこともできます(同法18条1項)が、同意の取得が前提です。お知らせや宣伝のメールを送る場合は、特定電子メール法3条により、あらかじめ送信に同意した相手などに限られます。予約画面には、利用目的を短く書き、詳しい取扱いは別のプライバシーポリシーに置き、そこへのリンクを示す形が、実務ではよく使われます。
店内ルールを整えるための確認
店内ルールの確認チェックリスト
- 席に着く前に目に入る位置に、ルールを契約の内容とする旨と、主要なルールを掲示したか
- 掲示の内容と、予約画面・確認メールの内容が一致しているか
- 持込み・撮影・利用時間・最低注文は、それぞれ理由と範囲を書いたか
- お通し、席料、サービス料などは、注文の前に分かる位置に示したか
- 迷惑行為の例を具体的に書き、注意から退店までの段階を決めたか
- 荷物については、責任をなくす書き方ではなく、預かりの範囲と注意喚起の書き方にしたか
- 予約者の個人情報の利用目的を、取得の前に示したか
起きがちなこと
店内ルールで起きがちなこと
- 混雑時に時間制限を告げたところ、「注文のときに聞いていない」と争いになる。
- 「撮影お断り」の張り紙を理由にスマホの画面の削除を求めた。契約上のルールで画像を消させる権限までは、通常ありません。
- 「持ち物の紛失は一切責任を負いません」と貼っていたが、クロークの預かり品の紛失で責任を問われた。
- 退店をお願いしたお客様と口論になり、その場の言動が後から問題にされる。
- 予約の際に聞いたアレルギーの情報を、メモのまま置いておき、他のお客様の目に触れてしまう。
- 予約の連絡先に、お知らせのメールを送り、「そんな目的は聞いていない」と指摘される。
店内ルールは、書く量よりも、示す位置と言い方で効き方が変わります。最小限のルールを、見える場所に、理由を添えて置くことが基本です。ルールの違反でトラブルになったときの整理は、トラブルとよくある質問のページでまとめます。
よくあるご質問
店内の張り紙に書いたルールは、お客様を拘束しますか?
張り紙の内容が契約の内容になるかどうかで決まります。店内のルールは民法上の定型約款にあたる場合があり、契約の内容とする旨を、お客様が契約を結ぶ前にあらかじめ表示していたときは、個別の条項にも合意したものとみなされます(民法548条の2第1項)。ただし、お客様の利益を一方的に害する条項は、合意しなかったものとみなされます(同条2項)。席に着く前に目に入る位置に掲示することが大切です。
迷惑行為をするお客様に、退店を求めたり、入店を断ったりしてよいですか?
民法は、契約をするかどうかを原則として自由に決められると定めています(民法521条1項)。迷惑行為を理由に、退店をお願いしたり、以後の入店を断ったりすることは、契約の自由の範囲で考えられます。ただし、基準のない拒否や過剰な対応は、権利の濫用(民法1条3項)などの問題になり得ます。対象の行為を具体的に書き、段階を踏んで対応し、記録を残すことが大切です。
「持ち物の紛失は一切責任を負いません」と掲示すれば、荷物の責任を免れますか?
免れません。飲食店は商法上の場屋営業者にあたり、客から寄託を受けた物品の滅失・損傷について、不可抗力を証明しなければ責任を免れません(商法596条1項)。携帯品についても、店が注意を怠ったことによる場合は責任を負い(同条2項)、責任を負わない旨を表示しても、責任は免れません(同条3項)。高価品は、客が種類と価額を通知して寄託した場合を除き、責任を負いません(商法597条)。
撮影を禁止するときに、お客様のスマホの写真を削除させることはできますか?
規約で撮影の可否を定めることはできますが、お客様の端末の中の写真を削除させる権限が、当然に生じるわけではありません。撮影の中止や、他のお客様の写り込みへの配慮をお願いする形で書き、ルールを守っていただけない場合は退店をお願いする、という段階の対応が現実的です。
予約フォームで集めた連絡先を、お店のお知らせのメールに使ってよいですか?
利用目的に含めて、取得の前に明示している場合は、その範囲で使えます。個人情報取扱事業者は、利用目的をできる限り特定し(個人情報保護法17条1項)、書面(電磁的記録を含む)で本人から直接取得する場合は、あらかじめ利用目的を明示しなければなりません(同法21条2項)。予約の確認の連絡だけを目的として取得した連絡先をお知らせのメールなど別の目的に使うには、あらかじめ本人の同意を得る必要があります(同法18条1項)。広告や宣伝のメールの送信は、特定電子メール法3条により、あらかじめ送信に同意した相手などに限られるため、事前の同意の取得が欠かせません。
あわせて読みたいページ
本ページは一般的な情報提供です。個別の取引への当てはめは、営業の形態や契約の内容によって異なることがあります。書き方の例として紹介している内容は、契約書作成の実務でよく見られる書き方を整理した例で、特定の事業者や案件を示すものではありません。条文は e-Gov法令検索(法令API)で確認しています。参考: e-Gov法令検索 / 消費者庁 / 厚生労働省 / 個人情報保護委員会