このページの要点
- 役務提供契約の申込みを情報処理機器の利用で受けて行う役務の提供は、通信販売の定義に入る(特定商取引法2条2項、施行規則2条2号)。
- 広告には対価・支払・提供時期・申込み期間・撤回又は解除に関する事項を表示し(11条)、最終確認画面にも表示する(12条の6)。
- デポジットは名称にかかわらず、不来店時に取得できる額は9条1項1号の枠内。名称より性質と返金の扱いを明記する。
- 予約サイトの表示と自店の条件がそろっているかを確かめる。条件の食い違いはお客様に有利に受け取られやすい。
結論:ネットで申込みを受けて事前に代金を受ける飲食の予約は、通信販売の表示を意識する
自店のホームページや予約フォームで、コースや席の予約をネットで受け付け、あわせてクレジットカードなどで事前に決済してもらう形は、いまや珍しくありません。この形を取るときに、まず確認したいのは、特定商取引法の「通信販売」の規律です。特定商取引法では、販売業者又は役務提供事業者が、郵便その他の主務省令で定める方法により売買契約又は役務提供契約の申込みを受けて行う、商品若しくは特定権利の販売又は役務の提供で、電話勧誘販売に該当しないものを「通信販売」といいます(特定商取引法2条2項)。条文の文言は、商品の販売だけでなく、役務の提供も含んでいます。そして、主務省令で定める方法には、電話機、ファクシミリ装置その他の通信機器又は情報処理の用に供する機器を利用する方法が含まれます(特定商取引法施行規則2条2号)。インターネットの予約フォームからの申込みは、これに当たります。
ただし、飲食店の予約が、個別の取引の内容において「役務の提供」を受ける通信販売に当たるかどうかは、取引の実態によって判断が分かれ得る点で、条文と所管官庁(消費者庁)の資料で確認が必要な部分です。このページでは、その当てはめを断定せず、通信販売に当たると考えて表示を整えておく場合に、何を表示し、どのような規約を整えておくかを整理します。実務上は、通信販売の表示事項は、お客様にとって予約の判断に必要な情報そのものであり、通信販売に当たるかどうかにかかわらず、表示しておくことが後の争いを減らします。
書類全体の地図は飲食店の規約・契約書の全体像にまとめています。なお、キャンセル料の金額の決め方はキャンセル料の決め方のページで扱います。ここでは、ネット予約の画面と規約、事前決済の名称と返金、予約サイトの規約との関係に絞ります。
ネット予約から来店までの流れと、確認する点
通信販売に当たり得る場面と、当たらない場面
特定商取引法の通信販売の規律は、営業のために又は営業として契約を結ぶ取引には適用されません。条文は、通信販売について、申込みをした者が営業のために若しくは営業として締結する売買契約又は役務提供契約に係る販売又は役務の提供には、通信販売の章の規定(前三節)を適用しない、と定めています(特定商取引法26条1項1号)。つまり、会社が事業のために行う宴会の予約など、事業者どうしの取引は、通信販売の規律の対象外になり得ます。個人のお客様が個人として申し込む予約は、対象になり得る側です。
場面ごとの整理
| 場面 | 通信販売の規律の考え方 | 表示を整える理由 |
|---|---|---|
| 個人のお客様が、ネットで席・コースを予約し、事前に決済する | 対象になり得る(役務の提供。2条2項)。当てはめは取引の内容で確認が必要 | 料金・支払・キャンセルの条件は、予約の判断の材料。表示は不可欠 |
| 個人のお客様が、ネットで予約するが、支払は来店時 | 申込みをネットで受ける点は同じ。支払の時期が来店時であるだけ | 支払の時期・方法を表示する(11条2号) |
| 電話で予約を受けるだけで、ネットの予約フォームはない | 「郵便等」には電話機の利用も含まれる(施行規則2条2号)が、電話勧誘販売との区別などは取引の態様で確認が必要 | 電話でも、キャンセル料などを口頭で説明し、メールで確認する |
| 会社が事業のために、ネットで宴会を予約する | 営業のための契約として、適用除外になり得る(26条1項1号) | 適用除外でも、条件を明示する実務上の必要は変わらない |
| 予約サイトを通じた予約 | サイトの運営者の表示と、店の表示の関係を整理する | 後述の、予約サイトの規約との関係を参照 |
表のように、個別の場面の当てはめには幅があります。重要なのは、「通信販売かどうか」を悩み続けることよりも、通信販売に当たるとした場合に求められる表示を、先に整えておくことです。以下では、その表示の中身を順に見ていきます。
広告に表示する事項と、誇大広告の禁止
通信販売をする場合の役務の提供条件について広告をするときは、広告に次の事項を表示しなければなりません(特定商取引法11条)。飲食の予約に引き直して、整理します。
広告の表示事項(特定商取引法11条)と、飲食の予約での表示例
| 表示事項 | 条文 | 飲食の予約での表示の例 |
|---|---|---|
| 役務の対価(価格) | 11条1号 | コース料金(消費税を含む総額。税抜価格を併記する場合も総額が分かるように)、席料、サービス料、お通し代の有無と金額 |
| 代金の支払の時期・方法 | 11条2号 | 事前決済か来店時か。クレジットカード、その他の決済手段。支払の期限 |
| 役務の提供時期 | 11条3号 | ご予約の日時。入店・席の利用時間。提供の開始時刻 |
| 申込みの期間に関する定め | 11条4号 | 予約の受付期限(前日の○時まで、など)。数量限定の場合は、その旨 |
| 申込みの撤回又は解除に関する事項 | 11条5号 | 予約の変更・キャンセルの可否、期限、キャンセル料、返金の扱い |
| その他、主務省令で定める事項 | 11条6号 | 主務省令で定める事項。省令の最新の本文で確認して表示する |
お客様向けに価格を示すときは、消費税を含む総額を表示します(消費税法63条。免税事業者を除く)。税抜価格を併記する場合も総額が明瞭に分かるようにし、サービス料・席料などがあればその旨を価格の近くに書きます。
11条5号の「申込みの撤回又は解除に関する事項」は、飲食の予約では、実質的にキャンセルの条件のことです。商品の通信販売であれば、返品の特約の有無を表示しますが、役務の場合は、予約の変更・キャンセルができるか、できる場合の期限と費用を表示することになります。この表示とキャンセル料の条項の内容は、同じでなければなりません。広告の表示と規約の内容が食い違っていると、お客様に有利な方が採用されやすくなります。
また、通信販売の広告については、役務の内容や、申込みの撤回又は解除に関する事項などについて、著しく事実に相違する表示をしたり、実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示をしたりしてはならないとされています(同法12条)。「ご予約はいつでも無料キャンセル」と表示しながら、実際には直前のキャンセルに料金を課していたり、「限定○席」としながら、実際には限定でなかったりするのは、この誤認表示の問題になり得ます。メニューの言い方に関する不当表示の整理はメニュー表示のページで扱います。
書き方の例(一般的な例) 広告・予約ページの表示の書き方
価格の表示
理由「〜」だけでは、実際に支払う額が分からない。消費税を含む総額と、別料金になるものを明記します。
キャンセルの表示
理由『規約に従います』とだけ書くと、申込みの判断に必要な情報が画面に出ていないことになります。要点を画面に書きます。
提供時期
理由遅刻の扱いは、トラブルになりやすい点。取り消すときの基準を、事前に表示します。
申込み画面(最終確認画面)の表示と、操作ミスへの備え
通信販売では、広告の表示のほかに、申込みを受ける画面の表示も定められています。販売業者又は役務提供事業者が、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法により顧客のパソコンやスマートフォンの画面に表示する手続に従って、顧客が行う役務提供契約の申込みを「特定申込み」といいます。この特定申込みを受ける場合には、申込みの手続が表示される画面に、次の事項を表示しなければなりません(特定商取引法12条の6第1項)。
確認の問いと理由最終確認画面に表示する事項(特定商取引法12条の6)
提供する役務の分量
コースの内容、人数、時間などです。申込み内容の確認として、人数・日時・コース名を画面に出します。
役務の対価(11条1号)
コースの合計金額(消費税を含む総額)。追加料金の有無も確認できる形にします。
代金の支払の時期・方法(11条2号)
事前決済か来店時か、決済手段を、確認画面にも出します。
役務の提供時期(11条3号)
予約の日時を、確認画面に再掲します。
申込みの期間に関する定め(11条4号)
ある場合に表示します。
申込みの撤回又は解除に関する事項(11条5号)
キャンセルの条件を、確認画面にも要点で出します。
広告と同じ内容を、申込み画面にも表示するのが基本です。
同じ条文の2項は、この画面で、申込みとなることについて人を誤認させる表示と、前項の事項について人を誤認させる表示をしてはならないと定めています(同条2項)。たとえば、「予約ボタン」のつもりで置いたボタンを「次へ」とだけ書き、押すと同時に決済が確定する画面は、申込みとなることについて誤認させる表示になりかねません。ボタンの文言は「予約を確定する(支払が発生します)」のように、申込みとなることが分かる言い方にします。
操作ミスについては、「電子消費者契約に関する民法の特例に関する法律」が関係します。この法律の「電子消費者契約」とは、消費者と事業者との間で電磁的方法により画面を介して締結される契約で、事業者が画面に表示する手続に従って消費者が送信することによって申込み又はその承諾の意思表示を行うものをいいます(同法2条1項)。同法3条は、消費者の申込みについて、送信した時に申込みの意思がなかったとき、又は申込みの内容と異なる内容の意思表示を行う意思があったときという錯誤があり、その錯誤が重要なものであれば、民法95条3項の(重大な過失があった場合は取り消せないという)制限を適用しないと定めています。ただし、事業者が、画面上で、申込みの意思の有無について確認を求める措置を講じていた場合は、この特例は適用されません。つまり、確認画面を設けておけば、操作ミスを理由とした取消しの主張を受けにくくなります。
申込み画面の確認項目
- 申込みの前に、日時・人数・コース・金額・支払方法・キャンセル条件が一つの画面(または明確な遷移)で確認できる
- 最終のボタンの文言が、申込みとなること(支払が発生すること)を示している
- 確認画面で内容を修正できる。戻るボタンで入力が消えない
- 申込みの完了後に、確認メールが自動で届く
- 消費税を含む総額の表示が、画面ごとに食い違っていない
返金・キャンセルの条文と、15条の3の位置づけ
通信販売の返品について、特定商取引法15条の3は、通信販売をする場合の商品又は特定権利の販売条件について広告をした販売業者が、その売買契約の申込みを受けた場合の申込者・購入者は、商品の引渡し又は特定権利の移転を受けた日から起算して8日を経過するまでの間は、申込みの撤回等ができるとしています。ただし、販売業者が申込みの撤回等についての特約を広告に表示していた場合などは、この限りではありません。
この15条の3は、条文の文言上、商品又は特定権利が対象で、役務の提供は含まれていません。したがって、飲食の予約のような役務の提供については、15条の3による「8日間の返品」の規定が働くわけではありません。キャンセルができるか、できるとして期限や費用はどうなるか、という点は、事業者が契約で定めることになり、その内容を広告と申込み画面に表示する(11条5号、12条の6第1項2号)、という整理になります。
商品の通信販売と、役務(飲食の予約)の違い
| 項目 | 商品の通信販売 | 飲食の予約(役務) |
|---|---|---|
| 申込みの撤回等(8日間) | 15条の3。広告に特約を表示しなければ、適用される | 条文は商品と特定権利が対象。役務には規定がない |
| 表示すべきこと | 返品の特約の有無・内容(11条5号) | キャンセル・変更の可否と条件(11条5号) |
| 費用の取扱い | 引取り・返還の費用は購入者負担(15条の3第2項) | キャンセル料の条項は、消費者契約法9条1項1号の枠で点検 |
| 規約の書き方 | 返品の特約を、広告と申込み画面に表示 | キャンセルの条件を、広告と申込み画面に表示 |
なお、返品不可の根拠として規約に条文を引用する場合は、条番号と対象を確かめてから書きます。事前決済の予約で、返金しない旨を書く場合に、15条の3や消費者契約法8条を根拠として引用する書き方は、条文の内容と合わない場面があります。消費者契約法8条は、事業者の損害賠償責任を免除する条項を無効とする規定であり、返金をしないことの根拠にはなりません。返金の可否は、キャンセル料の条項(消費者契約法9条1項1号)の枠で整理します。
事前決済・デポジット(予約金)の規約
ネット予約で、事前に一定の金額を払ってもらう仕組みには、いくつかの型があります。どの型かによって、返金や充当の扱いが変わるので、規約に型を明記します。
事前に受け取る金額の型
全額の前払い
予約時に代金の全額を決済
- 来店時の支払は不要
- キャンセル時は、キャンセル料を差し引いて返金する
- 返金の方法と時期を決める
内金(一部前払い)
代金の一部を予約時に決済
- 来店時に残額を支払い、内金は代金に充当する
- キャンセル時は、キャンセル料に充当し、残りを返金する
予約金・保証金(デポジット)
席の確保のために預かる
- 来店時は代金に充当、または返す
- 不来店のときの扱い(没収か、キャンセル料に充当か)を明記する
- 没収の額は、9条1項1号の枠内で定める
名称が何であれ、不来店時に預かった額を店が取得する条項は、実質的にキャンセル料と同じです。
条文例事前決済の条文例(ネット予約)
- お客様は、ご予約の申込みの際に、当店が指定する決済手段により、お料理の代金(前払い分)をお支払いいただきます。決済が完了したときに、ご予約が成立します。
- ご予約が成立した後、当店は、ご予約の内容を、お客様のメールアドレスに送信します。内容に相違がある場合は、速やかにご連絡ください。
- お客様がご予約を取り消した場合は、取消しの時期に応じたキャンセル料を差し引き、残額をお返しします。返金は、取消しの連絡を受けた日から○日以内に、お支払いと同じ方法で行います。
- 当店の責めに帰すべき事由によりご予約をお受けできなくなった場合は、お預かりした代金の全額をお返しします。
- 返金の際の振込手数料などは、お客様の事由による場合を除き、当店が負担します。
返金の時期と方法を定め、店の事情での不提供のときは全額返金することを明記します。数値はお店の運用に合わせます。
書き方の例(一般的な例) 事前決済・返金の書き方
返金
理由一律に返金しない条項は、キャンセル料の上限(9条1項1号)と、消費者の利益を一方的に害する条項(10条)の観点から無効とされるおそれがあります。
成立の時点
理由予約がいつ成立するかを決めておくと、決済の失敗やメールの不達の際の扱いが明確になります(民法522条)。
予約サイトの規約との関係
ネット予約には、自店のホームページで受ける方法のほかに、外部の予約サイトや予約システムを利用する方法があります。この場合、予約の周りには、複数の「規約」が重なります。
予約サイトを使う場合の三つの関係
| 当事者 | 規約・契約 | ポイント |
|---|---|---|
| お客様とサイトの運営者 | サイトの利用規約 | サイト上の会員登録や予約の手続について定める |
| お店とサイトの運営者 | 店舗向けの利用契約(掲載契約) | 掲載手数料、予約データの取扱い、キャンセルの精算、顧客情報の取扱いを定める |
| お客様とお店 | 予約条件・キャンセルポリシー・店内ルール | 予約が成立した後の、来店・飲食の条件を定める |
3つの関係は別々の契約ですが、お客様の目には一つの予約として映ります。そのため、サイトの画面に表示されているキャンセルの条件と、お店が自店の規約や掲示で示す条件が食い違っていると、お客様が有利に受け止めやすくなります。どの規約が優先するかは、それぞれの規約の定めによるため、一般論としては決められません。お店としては、利用する予約サイトの規約を確認したうえで、サイト上に表示されるキャンセルの条件を、自店の運用とそろえておくのが基本です。
確認の問いと理由予約サイトを使うときの確認
サイト上に表示するキャンセルの条件は、自店で設定できるか
設定できない場合は、サイトの標準の条件と自店の運用との差を、別の手段(確認メールなど)で補います。
キャンセル料を、サイトを通じて請求・回収できるか
回収できない場合は、不来店時の請求の方法を別に決めておく必要があります。
予約者の個人情報は、誰が管理し、お店はどこまで利用できるか
お店が取得した情報の利用目的は、お店自身の責任で示す必要があります(個人情報保護法21条)。
サイトの規約が変更されたとき、お店の側の条件はどうなるか
変更の周知の方法を確認します。定型約款の変更の手続は民法548条の4に定められています。
予約者の個人情報と、プライバシーポリシー
ネット予約では、氏名、メールアドレス、電話番号、決済に関する情報、アレルギーなどの申告内容を取得します。個人情報取扱事業者は、利用目的をできる限り特定しなければならず(個人情報保護法17条1項)、契約の締結に伴って書面(電磁的記録を含む)に記載された本人の個人情報を取得する場合は、あらかじめ、本人に対し、その利用目的を明示しなければなりません(同法21条2項)。ネットの予約フォームは、この場合にあたります。店内で聞き取る情報の扱いは店内利用ルールのページで整理しています。予約フォームの入力欄の近くに、利用目的を短く書き、プライバシーポリシーへのリンクを置く形が、実務でよく使われます。
予約に関わる個人情報の扱いで定めておくこと
| 項目 | 定めておくこと |
|---|---|
| 利用目的 | 予約の確認・変更の連絡、来店時の対応、キャンセル料の請求、アレルギー等への対応。お知らせの配信を行うなら、別の目的として明記する |
| 決済に関する情報 | 決済代行会社に情報を渡す場合は、その旨と、委託や提供に関する扱いをプライバシーポリシーに書く。カード番号をお店が保存しないなら、その旨も書く |
| 保管の期間 | 予約の記録、請求の記録を保管する期間と、廃棄の方法 |
| アレルギー等の申告 | 対応の目的に限って使うこと、記録の管理者 |
| 問い合わせ窓口 | 開示・訂正などの請求の窓口と、手続 |
ネット予約の規約を整えるための確認
ネット予約・事前決済の確認チェックリスト
- 広告・予約ページに、料金(消費税を含む総額)、支払の時期と方法、提供時期、申込みの期間、キャンセルの条件を表示したか
- 最終確認画面に、人数・日時・コース・金額・支払方法・キャンセル条件を表示したか
- 最終のボタンの文言が、申込みとなること・支払が発生することを示しているか
- 確認メールに、予約の内容とキャンセルの条件を再掲しているか
- 事前に受け取る金額の名称(全額・内金・デポジット)と、キャンセル時の扱いを規約に明記したか
- 返金の方法と時期、お店の事情で提供できない場合の全額返金を明記したか
- 利用する予約サイトの規約と、自店の条件が食い違っていないか
- 予約者の個人情報の利用目的を、取得の前に明示したか
起きがちなこと
ネット予約・事前決済で起きがちなこと
- 予約ページにキャンセルの条件がなく、規約の奥にだけ書いてあり、「知らなかった」と争いになる。
- 「予約する」ボタンの先で、決済が確定するのに、ボタンの文言がそれを示していなかった。
- 返金しない旨の根拠として、返品に関する条文を引用していたが、飲食の予約には当てはまらなかった。
- 予約サイトに表示されるキャンセルの条件と、自店の掲示の条件が違っていた。
- デポジットの名称だけが違い、不来店のときの扱いを決めておらず、お客様に没収を主張して反発された。
- 予約の連絡先を、後日の宣伝に使い、「利用目的を聞いていない」と指摘された。
ネット予約は、お客様がお店の人と話さずに申し込むため、画面と確認メールがすべてです。画面の表示を整えておくことが、お客様にとってもお店にとっても、安心につながります。万一のトラブルのときの確認の順序はトラブルとよくある質問のページにまとめています。
よくあるご質問
飲食店のネット予約は、特定商取引法の通信販売に当たりますか?
条文上、通信販売は、役務提供契約の申込みを郵便等(情報処理の用に供する機器を利用する方法を含む)で受けて行う役務の提供で、電話勧誘販売に該当しないものとされています(特定商取引法2条2項、同法施行規則2条2号)。個人のお客様がネットで申し込む飲食の予約は、この枠組みで検討する対象になります。個別の当てはめは取引の内容によるため、条文と消費者庁の資料で確認が必要です。通信販売に当たると考えて表示を整えておくのが、後の争いを減らす方法です。
ネット予約のページには、どんな事項を表示する必要がありますか?
通信販売の広告には、役務の対価、代金の支払の時期と方法、役務の提供時期、申込みの期間に関する定め、申込みの撤回又は解除に関する事項、そのほか主務省令で定める事項を表示します(特定商取引法11条)。飲食の予約では、料金(お客様向けの価格は消費税を含む総額を表示します。消費税法63条。免税事業者を除く)、決済の方法、予約の日時、受付期限、キャンセルの条件が中心になります。申込みの画面にも、分量とこれらの事項を表示します(同法12条の6第1項)。
飲食の予約にも、商品のような8日間の返品は認められますか?
特定商取引法15条の3の申込みの撤回等は、商品又は特定権利が対象で、役務の提供は含まれていません。飲食の予約のキャンセルは、事業者が契約で定めた条件に従います。その条件を、広告と申込み画面に表示し(同法11条5号、12条の6第1項2号)、キャンセル料の額は消費者契約法9条1項1号の枠で定めます。
事前決済のデポジット(予約金)は、不来店のときに返さなくてもよいですか?
名称が何であっても、不来店のときに預かった金額を店が取得する条項は、実質的にキャンセル料と同じ働きをします。個人のお客様との契約では、取得できる額は、消費者契約法9条1項1号により、同種の契約の解除に伴い事業者に生ずべき平均的な損害の額の範囲に限られます。預かった金額の性質と、不来店のときの扱いを、規約に明記します。
予約サイトを利用する場合、サイトの規約と店の規約のどちらが優先しますか?
どちらが優先するかは、それぞれの規約の定めと取引の構造によるため、一律には言えません。お客様とサイトの運営者、お店とサイトの運営者、お客様とお店という三つの関係があり、お客様の目には一つの予約に見えます。サイトに表示されるキャンセルの条件と、自店の条件を、そろえておくことが基本です。
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本ページは一般的な情報提供です。個別の取引への当てはめは、営業の形態や契約の内容によって異なることがあります。書き方の例として紹介している内容は、契約書作成の実務でよく見られる書き方を整理した例で、特定の事業者や案件を示すものではありません。条文は e-Gov法令検索(法令API)で確認しています。参考: e-Gov法令検索 / 消費者庁 / 厚生労働省 / 個人情報保護委員会